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【第72回安田記念回顧】絶対王者なきマイル路線で展開と馬場を味方についてソングラインがリベンジ成功

グランアレグリアが引退し、新世代の戦いに突入した今年のマイル戦線。1番人気は個人的には意外だったイルーシヴパンサー。確かに4連勝の勢いはあったが前走はG3東京新聞杯。下位条件のワンターン(半周)の競馬は割とスローペースになりがちで、ガチのマイル路線とは求められる資質がズレることが多い。厳しい流れでの巡航性と末脚の持続性を求められるG1でいきなりの一番人気は意外だった。2番人気は前年のNHKマイルカップの覇者シュネルマイスター。本来であれば断然の人気でもおかしくない実績ではあるが、ドバイの失速と調教、当日の気配で嫌われた形で人気を落とした。3番人気はファインルージュ。東京新聞杯ヴィクトリアマイルの連続好走。若干距離適性は安田記念に求められる資質より長めとも思われたか武豊効果もあってか3番人気。以下ソングライン、セリフォスと続いた。馬券は◎ダノンザキッド。本来安田記念は激流の中での持続性を問われがちなことは先述の通り。とはいえ今年は逃げ馬不在ということもあって、前に行ける中距離馬でも勝負になるのではないかというのが予想時の見解。以下、例年よりも長めの馬が来ると見込んで、○ファインルージュ。操縦性を重視してソングライン。逃げ残りを警戒してレシステンシア。ジャスタウェイ丼を予防にカテドラルまでで勝負。

レースはレシステンシアが注文通りの好スタートを切るも内からホウオウアマゾンがハナを主張。ダノンザキッドも前々の競馬。芝に転戦したカフェファラオも先行して、外からはサリオス、その後ろからソングライン。外からセリフォスに圧をかけられる形でシュネルマイスター。1番人気のイルーシヴパンサーは最後方からの競馬となって、前半の4ハロンが46.7を通過する形となった。スローペースでぎっちりした競馬となったままで4コーナーを回って直線。ダノンザキッドが外に進路を取って積極的に上がっていく。いったんは抜けだしかけるが外から一気にソングライン、サリオス、セリフォスが伸びてくる。その内を突いてシュネルマイスターが上がってくるも、サリオスを外から交わしたソングラインが押し切ったところがゴール。シュネルマイスターは惜しくも2着で、サンデーRのワンツー。ソングラインにとっては1年前のNHKマイルカップのリベンジで嬉しいG1初勝利となった。

振り返れば今年の安田記念はほぼ向こう正面で隊列が決まったタイミングで各馬の有利不利が決まってしまった印象。直線では馬場の真ん中より外、恐らくダノンザキッドが最初に獲ったコースが伸びるギリギリラインのトラックバイアス。レース前からそのことがわかっていただけに、外枠各馬もあえて向こう正面からポジションを譲ることはなかった。そのためスローの団子となった時点で内枠から中団で先行できなかった勢は不利な展開。特に向こう正面でサリオスの後ろを獲れたソングラインは文句なしの位置取り。一方で前走ドバイターフを使って、体調にも不安が残っていたシュネルマイスターは積極的に前進することができずに、セリフォスから外から押し込まれる形で、ソングラインの後ろに収まってしまった。それ以上外に出すわけにもいかず直線では前が開くのを待つ形となったのは痛かった。一方でソングラインはサリオスを目標に極めてスムーズな競馬で鞍上池添も会心の競馬。最後シュネルマイスターもよく詰めたが、今回は枠も体調も含めて、ソングラインが勝つべくして勝った競馬となったといえよう。見事な勝利であった。秋はBCも視野に入れるとのこと。ここまでどハマりする競馬が秋も待っていることは確約できないことから、海外に活路を求めるというのも1つの判断で楽しみ。

2着のシュネルマイスターはドバイ帰りでかなり体調に不安を抱えた状態での出走。道中も後手後手に回る競馬となりながらも2着。このまま立ち直れば秋には再度マイル王者として君臨できる可能性は高い。今回は例年の安田記念よりもスローの流れとなって、どちらかというと中距離質の競馬となった点は予想通り。この流れを32.9で差し込めるならドバイの負けは体調面とみてもよいところで、秋は天皇賞秋からの始動に期待したい。3着サリオスは外から積極的な競馬で見事な復活の走り。とはいえ、実力的には上位2頭が上。世代レベル的にもしばらくは4歳世代が中心となりそうで5歳は辛い。4着セリフォスはダイワメジャーには向かない流れに思えたが、しっかり最後まで伸びて、実力は出し切った。とはいえ斤量差もあり、秋以降に積み上げがあるタイプとは思えないため、人気になるようなら下げたいところ。5着ファインルージュは何より枠。こちらは上位勢にどこかでリベンジの機会がありそう。◎のダノンザキッドは6着まで。中距離質の流れを読んだところまでは悪くなかったと思ったが、シンプルにこのレベルで戦うにはスピードが足りなかったか。どこかで復活できそうだが、条件は限定されそう。イルーシヴパンサーは想像通りの競馬で8着。これまで自分で競馬を作った経験もなく、ワンターンの競馬で末脚だけで勝負してきたのならこれが限界だろう。このローテーションを選択した理由はあるのだろうが、G1を勝つには圧倒的に経験が足りない。先週のダービーとの対比するのは酷かもしれないが、鞍上田辺はスポットでは良い競馬をすることがあるが、継続騎乗でピーク目指して馬を作るレースができないのが、最大の欠点。今回もそれがモロに出たように思える。

流れとトラックバイアスにハマった馬が勝ちきったという印象の今年の安田記念絶対王者なき後のマイル路線の軸は決まらなかったものの、臨戦過程に不安のある馬が多かった割には、好レースとなった印象で秋が楽しみとなる1戦であった。