BrainSquall

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僕とBlueskyの10ヶ月。次世代分散型SNSの明日はどっちだ!

本日ついにBlueskyの招待制が廃止され、誰でも登録可能な一般公開フェーズに突入した。実質的にβテスト状態も終わりに近づいていると言っていいだろう。日本人ユーザーの大量流入も観測され、X(Twitter)で見慣れた「いつメン」のアイコンも急速に増えており、クラスタレベルでの移動も夢ではない状況となってきた。

この状況で生まれるユーザーの期待はもちろんX(Twitter)代替サービスとなるのは想像に難くない。しかし幸運にも10ヶ月前からBlueskyで細々と活動してきた知見を踏まえると、いつものBluesky運営の期待値コントロール失敗が顕在化するのではと、ワクワクじゃなかった、そこはかとない不安が止まらないというのが正直な感想ではある。

まあせっかくの機会なのでこの10ヶ月のこの次世代分散型SNSで過ごした起きたこと、感じたこと、現状への不安と今後への期待を書き残しておきたい。

新規登録、ここはあの日のTwitter

私がBlueskyにログインしたのは今から10ヶ月前、2023年4月6日であった。全ユーザー数は2万人にも満たなかったと記憶している。印象的だったのはログイン翌日に都内某所で行われていたBluesky運営とのMeet upイベント。開発メンバーとの距離感、自由なAPI利用によるサードパーティサービスの熱量、その距離感は確かに初期Twitterを思わせる雰囲気で、モバツイからテンキーを叩いていたSNSの原風景が広がっているかのように思えた。

bsky.app

だがしかしBlueskyのアーキテクチャを理解し少しの間使っていると、その居心地の良さは「招待制」という防壁が担保している脆弱なサービスであることを実感させられた。

Blueskyを通じて改めて感じた既存SNSの弱点

見た目はまるでTwitter、でも機能は貧弱!なBlueskyを使ってしばらくして痛感したのは、果たしてこの分散型SNSアーキテクチャはいったい既存SNSのどの課題を解決するための仕組みなのだろうという疑問であった。

既存SNSの最大の問題は人間の認知の限界を超えた情報量が取り扱われていることに尽きると考えている。もう少し具体的に言えば「人間の記憶できる時間を超えて出力した情報に一貫性を求められること」「自分の発信した情報が届けたい相手、範囲を超えて無限に拡散し、想定外相手に届いてしまうこと」「標的になった場合にbotも含めた、1:Nのコミュニケーションを強いられてしまうこと」の3点である。

bsky.app

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現実世界においてはそれは物理的な距離や社会における建前によって、認知と情報の齟齬はある程度抑えられてきた。しかしSNS(≒インターネット)はその壁を軽々と取り払ってしまった。もちろんそれによるメリットは多々あるが、ことSNSというサービスの現状においては、デメリットが色濃くでてしまっている。1つ1つは取るに足らない投稿が、世界中の人の目に触れ拡散する。逆に一度標的となると世界中が敵になった感覚に陥る。人間は矛盾し、変化する生き物であるのにSNSでの過去の投稿との整合性を求められ、キャンセルを強いられることもままあるのが現代である。

少なくとも初期、そして現状のBlueskyはこの課題に答えている、応えようとしているというには難しい。解決できているように見えるとすれば、それは単純にユーザー数の少なさにおける情報量の少なさによるものである。この10ヶ月間、何度か起きた一斉新規参入のタイミングで、ローカルルール、使い方指南が何度も再燃するのもその証左と言えるのではないだろうか。

次世代SNSに求める要件、分散型SNSが抱える矛盾

ではこの課題を解決するための処方箋、次世代SNSに求められる要件とは何だろうか。正解はないが、人間の認知の限界に正直に向き合うことが何より重要なのではないかというのが、Blueskyを触って初期に感じた感想である。決して無責任な分散型SNSの構築ではない。聞いているか?ジャックドーシー!それはさておき整理すると下記の4点である

  1. 自分が発した情報をどう見せるか、投稿の更新・削除・参照の投稿者権限によるデータコントロール
  2. 自分が見たい情報をどう見るか、運営ではなく自分でフィルタ、モデレートできる閲覧者権限によるデータコントロール
  3. 自分が見たい情報を横断的に検索し、法的に問題のある投稿を自由に見せない運営者権限によるデータコントロール
  4. アカウントの無制限な増加、捨てアカウントを抑制する本人認証(not 実名性)などによる運営のアカウントコントロール

実際に現状のBlueskyがこの要件をどこまで満たしているのか?とつらつら考えると現状では2と4に特化しており、1と3については、道半ばと言わざるを得ないのではないかというのが、2024年2月時点での率直な感想である。

bsky.app

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確かに今後予定されているPDSの分散、モデレーションの個別設定により緩やかな連合が構築され、2については解決に向かう可能性は高い。今回の招待制廃止にあわせて電話番号認証が導入されたことで、ある程度4も見込めるであろう。

一方で原則的に公開を是とするBlueskyのアーキテクチャではブロック、リプライ制限は導入されたとはいえ、DM・鍵アカウントはまだ未定であるように、投稿した内容を「誰に」「どうやって見せるか」、1についての設計思想は貧弱であると言えよう。また情報の横断的な検索を可能とする機能や、法的な責任を負うには中央集権的な運営を続ける覚悟とマネタイズが必須となるが、これまでの強権的・インテリ前提の運営実績と、ドメイン販売だけではかなり心許ないものがある。そもそも分散型思考した時点で3,4に関して相性が悪すぎるのである。

理想を言えば、世界をまたいだ運営がデータ管理・マネタイズを保証したなかで、各国の法律レベルのモデレーションを第一階層、PDSレベルのモデレーションを第二階層、個人レベルのモデレーションサードパーティー含めたクライアントで実装するというような形になってくることだろうか、流石に壮大すぎて現実味がない。そこまで夢を広げなくても、現状のフィードの重さ、ユーザーの運営への期待はスケーリングに不安を残している状態である。

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シビアな話ではあるが、現状のBlueskyは在りし日のTwitterの全盛期を代替しない。そのデータを公開する態度を考えれば、ある意味生成AIのための学習もやり放題、一度トラブルに見舞われたら運営に頼ることができない、自分で自分の発言をコントロールし続ける意識をしなければならないモヒカン蔓延るSNSなのである。

それでもBlueskyに期待をする理由

かようにBlueskyはまだまだ未発達で、期待値コントロールが苦手な運営が誤魔化し誤魔化しやりくりしているSNSに過ぎない。在りし日のTwitterを思わせるかもしれないその雰囲気もあくまで、ユーザー層の少なさに担保されている部分が大きい。それでも現状のSNSにおいて、アーキテクチャレベルでSNSの課題を解決しようという気概をもった唯一のサービスであると言っていいだろう。願わくば開発者の満足に終わらない分散型SNSとして設計が進み、課題解決がローカルルールを必要としないレベルまで機能として実装されることで、必要以上に燃えない、訂正可能性を赦す、そしてSNSのダイナイズムを失わない適切な誤配をSNSに昇華されること。何より持続可能性のあるマネタイズ、分散管理のインセンティブを十分に感じられる仕組みになることを願いたい。強い気持ち・強い金!

最後にお知らせ

Blueskyに早めに乗り込んだことで下記のアカウント、フィードを運用している。競馬ニュースの閲覧、競馬、ウマ娘クラスタ探しの一助になると思うので、是非ご利用いただければ。

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