【菊花賞回顧】ノリがユタカで、ユタカがノリで、勝ったのはコーシロー
2年連続で三冠馬誕生の期待を秘めた今年の菊花賞。終わってみると、三冠の難しさを改めて見せ付ける結果となった。今年の菊花賞を語るにはやはりアドメイヤメイン&武豊の逃げっぷりを外しては語れないだろう。というわけで語り尽くされてきている感はあるが、セイウンスカイの逃げ切りと並べてラップを書き出してみる。
12.8-11.5-11.1-11.6-11.7-11.7-12.9-12.8-12.9-13.2-13.0-11.9-11.2-12.5-11.9(06年)
13.3-11.5-11.7-11.7-11.4-12.1-13.1-13.5-12.7-12.9-12.3-11.9-11.6-11.5-12.0(98年)
1000mごとで切ると今年は58.7-63.5-60.5。緩急をつけた芸術的な逃げではあったけど馬場差を考えるとしても、やはり真ん中の1000mであと1秒くらい落としたかったのが本音というところか。開催がこの時期になってからあまり見られなかったが、高速馬場の京都だったということもメインがセイウンスカイになるチャンスを後押ししたような気がしたのだが。しかしメインを見てるとやはりSS*ミスプロというのはある程度のペースで走っても、自分のペースさえ守れれば頑張れちゃうというパターンで馬が出ることが多い印象。それが究極まで行けばサイレンススズカになる・・・が、普通の一流馬だとG1でそこまで自分のペースで競馬が出来るわけでもなく、どうしてもトライアルホースになりがちという仮説はあながち外れていない気がする。以前にも書いたがG1を勝ったロブロイも、緩急のあるというか、周りにマークされると最後甘くなる傾向があった。スムーズに走れるとえらい強かったけど。他にはフサイチエアデール、アドマイヤキッス、グレイトジャーニーなどもその辺の対応力のなさが出ているような気はする。スズカマンボもどっちかというとワンペースの馬だったしねえ。ま、今後新しくSS産駒は増えないので、あまり意味のない考察ではある。しかしメインはダービー溜め逃げしてなかったら、勝ってたんでないの。
惜しくも三冠を逃したメイショウサムソンは先述した摩擦の少なく消耗のない馬場にやられたか。これだけ好タイム連発な軽さだとペース以上にどの馬もばてない。血統的にも明らかに上がりの速い競馬への対応は疑問で、そういう中での末脚勝負では一枚落ちたのも仕方ないか。テイエムオペラオー並みの突然変異を望むのはちと酷だったか。しかし二冠馬が無事に秋に挑んだことだけでも十分立派ではある。
さてさて勝ったソングオブウインドについて触れてみる。まずはエルコンドルパサー産駒の最後のクラシックでの勝利はめでたいとしか言いようがない。グラ基地としても、心からお祝いのお言葉を。この馬の血統を見てみると、ミスプロ*SSでメインの大まかに見ると逆配合となっている。SS*キングマンボといえばスズカマンボがいたりと、自分のペースで走れれば相当の末脚を発揮しても不思議ではない血統。とにかく馬なりに進めた幸四郎の好騎乗というのがまずは大きいだろう。トライアルではサムソンのシブトサに負けたが、とにかくゆったりと走らせれば末脚発揮できる馬なのかも。ファンシミン系だし。ただイマイチこの馬はキャラが掴めていないのが正直なところなので次走に注目してみたい。
2着ドリームパスポートは芸術的なノリの2げっと。上手く乗ってるんだけどねえ。もうこの馬はフジキセキは目を瞑ってトニービン産駒だと思えば納得。本来トニービン血脈には鬼門の菊花賞でリンカーン同様にノリが持ってきたということでしょう。母母ゴールデンサッシュとスタミナの裏づけもあった。トニービンと思えば、JC出てくるのなら狙ってみたいところ。またリンカーンをイメージすると2200mが実はぴったりという可能性もあるので、出てきたら注目したい。
◆レース後のコメント
◇1着ソングオブウインド
※武幸騎手 今日は折り合いをつけること、そしてリラックスして走らせることに専念して乗った。結構、速いペースだったし、無理するよりは終いに賭けようと思っていた。理想的な位置で運ぶことができたし、4角を回る時でも前を交わせるだけの手応えが残っていたので、自信を持って追い出したんだ。まだピンときていないが、菊花賞というとても重みのあるレースを勝てて、今はとにかく興奮している。
◇2着ドリームパスポート
※横山典騎手 いいポジションが取れたし、道中の折り合いもスムーズ。安藤さんがきた時でも、仕掛けをワンテンポ遅らせることができた。後ろで脚をタメていた馬にやられてしまったが、この馬も直線はかなり速い脚を使ってくれているし、いいレースができたと思う。
◇3着アドマイヤメイン
※武豊騎手 前半の1000mを58秒7で行けたし、そこからうまくペースダウンもできた。本質的に3000mは幾らか長いと思うが、思い切ったレースができたし、馬もよく頑張ってくれてる。3分3秒台の決着なら踏ん張り切れるかもと期待していたが、この時計だからね。