BrainSquall

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【第68回菊花賞】各馬のキャラの揃ったことを見せ付けた三冠最終戦

ここ数年の菊花賞を勝つためには折り合いと、坂の下りから動いてトップスピードをゴールまで持続できる脚が必要とされている。去年こそアドマイヤメインが緩いペースを引っ張りすぎたために、上がりの競馬となってしまたが、日程が変更されコースが変わって以降、基本的には折り合い重視からの、坂の下りから一気に仕掛けてロングスパートレースと考えていいだろう。そう考えると今年の3歳牡馬はレベル云々以前に、菊花賞適性が低すぎる馬が揃ってしまった年といえる。今回気性に難があるドリームジャーニー、ヴィクトリー、フサイチホウオーあたりはレース前から勝負になっていなかった。この敗退は当然といえる結果。そんな中での実は本命だった4着エーシンダードマンは実に惜しかった。いや能力的に足りていなかったわけだが、出走馬のなかでの菊花賞適性という点ではこの中ではずば抜けていた1頭との見立ては正しかったと思う。前半は後方でキッチリ折り合い、坂の下りから一気に動いてのダラっとした長い末脚。実に菊花賞好みのレースをしてくれた。結果として4着に敗れている以上、馬券的にはダメだが、その敗因はまず絶対能力的な問題。夏に1000万下で好走した3歳馬は秋にたいてい結果を残せるものだが、やはり菊花賞ともなるとそこで1000万下でも勝ちきるだけの力が欲しかった。そしてもうひとつはヴィクトリーのかかりっぷりとホクトスルタン横山典の絶妙な騎乗にある。ということで、上位入線馬の話に入る。

ラップをみると12.9-11.7-11.7-12.8-11.6-11.9-13.4-12.6-12.9-12.8-12.6-12.0-11.6-11.9-12.7。1000mで切るとは60.7-63.6-60.8。絶妙の逃げといってもいい。これでホクトスルタンが勝てなかったのは絶対能力の問題。そしてペースと、ヴィクトリーの掛かりっぷりの恩恵を受けたのが勝ったアサクサキングスである。前半の速めのペースのときにヴィクトリーが一気にかかったため、後続は必要以上に前を意識しない動かない。しかしホクトスルタンの作ったペースは7ハロン目13.4。本来なら前残りのペースである。ところが先行馬は能力が足りないか、ずっと力んだ走りをしていた馬ばかり。結果として、4コーナーでは先行馬が一気にさがり、内がゴチャゴチャ。先行勢のちょい後ろを早めにアサクサキングスには最高の展開。後方から差す馬にとっては内は詰まるは、外に出せば距離損だわの厳しい競馬となった。もちろんその展開を活かしきって勝ちきったアサクサキングスは立派なもの。自分のペースで走れれば、思った以上にしぶとかったり、斬れたりするリファール系らしさが出た勝利といえよう。今後も揉まれる競馬では大敗。スっといければ好走というムラ馬にはなりそうな予感。

2着のアルナスラインはずっと力んでいた走りでの好走だけに能力の高さは素晴らしい。もともとSS*トニービンアドマイヤベガはイメージ以上にロングスパートが得意な血統。ただ母系のスタミナもあって2着まで来た気性的にそこまで溜められないだけに、ベストは2200〜2400。来年の宝塚記念では非常に怖い存在になりそうだ。有馬記念は小回りだけに瞬発力を問われすぎるかもしれないが。3着ロックドゥカンブは騎手コメントの「自分から動くとなると3角から仕掛けなければなりませんし、我慢して終いに賭けました。」って時点で菊花賞わかってないなあ、とか言いたくなってしまうw とはいえ、上手く先行できたとしても今度は同じ脚を使えるかは微妙なところ。これが以前の菊花賞だったら面白かったところなのだが、やはり今の菊花賞を勝つ馬としては使える脚が短い馬だったから、こういう競馬になったのだろう。やはりベストは2000〜2400。もちろん半年遅生まれでの3着は見事であるし、どんなペースでもキッチリと脚を使いきれるのは見せ付けた。あの直線入り口のキレは斤量もあるので鵜呑みにできないが、有馬記念で面白い存在。能力は確かだ。

4着エーシンダードマンは冒頭に述べたとおり能力は出し切った。ただ力がつききっていなかったこと、前が楽なペースになってしまったこともあって、ここでは馬券圏内にはいれなかった。こちらも長距離適性は確かなので、春の京都が楽しみな存在である。5着ドリジャニはやはり距離不安が強かったか。ダンツフレーム菊花賞を思い出させる最初から着狙いの騎乗。まあ買った方が悪い。武豊は開き直りすぎだとは思うが。こうしてみると、戦前の予想以上にレース自体は締まった形で、上位馬も負けた馬もキャラが立っている。今後もハマれば面白い世代にになりそうと感じさせられた三冠最終戦であった。

◆レース後のコメント

◇1着アサクサキングス

※四位騎手 極端なスローペースになると嫌だなと思っていたけど、何頭か行ってくれてそこそこのペースになったし、先行集団の後ろでうまく折り合えた。手応え以上に渋太いタイプだから自分から動いて行ったけど、最後までよく辛抱してくれたね。早くから素質を評価していた馬で、前走で久々に乗って力をつけているのも分かっていたから結果を出せてホッとしている

◇2着アルナスライン

※和田竜騎手 思い通りの競馬はできましたが、ずっとハミを噛んでいました。久々を使った分というよりも、もともとそんな面がありますからね。勝ち馬が相手だと思っていましたし、手応えでも勝っていたのですが……。どこかでハミが抜けていればまた違ったでしょうね。

◇3着ロックドゥカンブ

※柴山騎手 スローでもうまく折り合いはつきましたが、ずっと馬込みの中でしたからね。自分から動くとなると3角から仕掛けなければなりませんし、我慢して終いに賭けました。あの位置からよく追い上げてくれましたよ。やはり一戦毎に力をつけています。