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春の東京2戦は正しい選択なのか(馬場研究・その4)

前回中山の馬場は今までとは比べ物にならないくらい耐久性がある馬場となったと述べたが、では東京はどうなのか。春のクラシックシーズンになると「中山の悪い馬場を避けて、東京を使う」などというコメントを目にする。しかしこれは本当に正しい選択なのか。

確かに東京競馬場はそのスケールゆえ馬場の傷みが分散して一箇所が集中的に傷むことは少ない。しかし一年の開催日程と馬場変化について述べた馬場研究その2を見てもらうとわかるように基本的東京競馬場中山競馬場に比べて、馬場を休ませる期間が1ヶ月短い。さらにダービーが終わってからオーバーシードの洋芝を全て抜いてから休ませることになるわけだが、そうなると7〜8月にじっくりの芝を育成することがかなわない。そのため馬場自体は中山よりも弱いものとなるといえる。もちろんスケールの大きさから仮柵の移動などによって傷みは分散されるわけだが、それでもじっくり回復しないまま使われる馬場は痛みが蓄積する。となると秋はともかく春の東京の馬場が良い状態とはとてもいえないことがわかるだろう。

いや春の東京はいつも綺麗な緑色だと思う人がいるかもしれない。しかし3〜4月に伸びる芝はあくまで洋芝である。そのため開催後半ともなればあっという間に荒れてしまう。さらに6月近くともなれば洋芝は暑さに耐えられずに枯れてしまう。それが顕著に出たのが2004年のダービーである。管理人の記憶では不運なことに直前は雨予報だったのが、外れて晴れてしまった。そのために馬場造園課としては散水が十分に出来なかったようだ。その結果ボコボコの野芝に枯れた洋芝、さらに散水も出来ずに乾いた馬場という悪条件がそろい、出走馬は軒並み故障に見舞われてしまった。散々馬場造園課は叩かれてしまったわけだが、もともと3歳の若駒の極限のレースをこのような時期に行えば、散水できなかったミスを除外しても故障は増えるわけである。

このように春の東京の馬場というのはどう頑張っても良い状態を保つのは難しいのである。ここまで書けばNHKマイルC→ダービーというローテーションがいかに馬にダメージを与えるかは言わずも知れたことであろう。最近の研究によれば屈腱炎は「馬場との因果関係よりむしろ馬に課せられた調教の累積量(スピード、時間、走行距離)に多く依存して発症する可能性が高い」「長期間にわたる運動負荷による組織疲労が原因となって起こる微細な腱線維の断裂および腱の過度の伸展による機械的な腱線維の破綻が原因ではないか」と述べられている。ここでは特に後半に注目してもらいたい。過度な伸展による腱繊維の破綻が原因とある。荒れてボコボコになった東京の馬場でG1を2走することはこれを引き起こすに十分に値するのではないだろうか。もちろん管理人は専門家ではないのでこれだけが原因と言い切るつもりはない。ただやはり原因の一つとは素人ながら考えてしまう。

もちろん皐月賞の時期の中山の馬場も良い状態とは言えない。しかしNHKマイルCのころの東京とは大して変わらないのではないだろうか。しかもあえていうならクラシック路線よりマイル路線がレベルが高い年はほとんどない。そして最近中山の馬場はマイラー向きとなっており、3歳時の東京1600戦はハイペースとなりがちなため意外と中距離適性を要するものだ。生産界ではマイル、2400と異なる距離を制することが潜在能力の証だと人気が出るようだが、個人的には皐月→ダービーの二冠のほうがよっぽど価値があるのではないかという思いがある。

まあ別に管理人は競馬界の人間でないわけでこのことを馬券で生かすためにどうするべきかだけ考えればいいので血統的な見地から最後に春の東京開催の傾向を述べる。やはりSSは相変わらず強いが、荒れ気味の馬場、直線が長くなった改修工事のためか勝率はそれほど高くない。狙いはコマンダーインチーフフジキセキフサイチコンコルドなどのちょっと普通なら足りないくらいの血統の馬で最後まで良く届いている。また春の東京であまりに速い時計を出した馬は次走を疑うのは当然必要だと考えられるだろう。ということで次回は京都競馬場編。ディープインパクトの末脚は字面どおりに受け取れないことに理由について述べてみたい。