BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

ディープインパクト死去、そして次の時代について

関東の梅雨明けが宣言され、猛暑が始まった真夏の昼。ディープインパクト死去のニュースが競馬界に駆け巡った。競走成績14戦12勝。主な勝ち鞍は牡馬三冠、天皇賞春、有馬記念ジャパンカップ種牡馬入りしてからも2018年まで7年連続リーディング。三冠牝馬ジェンティルドンナを筆頭に毎世代G1馬は4,5頭出し続け、海外でもクラシックを制覇とまさに日本近代競馬の結晶としての才能を遺憾なく発揮した馬生であった。ハイセイコーオグリキャップと並ぶ社会現象を生み出した競馬界の英雄(今となってはこの呼称もすっかり馴染んだように思う)であり、個人的にもデビューから引退までを初めて現地で追うことができた牡馬クラシック三冠馬。競馬史における不世出の名馬であり、思い入れのある1頭だけに、ディープインパクトの死というニュースは自分の競馬史に1つの区切りがつく出来事であるように思える。

改めて思い出を振り返るならば、現役時代については、

  • 日本競馬における最強を示した天皇賞
  • 本物だと認めて「ファン」になった皐月賞

というのがベスト3ということになるだろうか。もちろん凱旋門賞のゲート入りの瞬間、日本馬の勝利が目の前で来ているという高揚感も忘れられない一瞬であった。また日本ウマ学会で走りの研究を聞いたのも懐かしく思い出される。

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種牡馬入りしてからは毎年一口カタログを羨望の眼差しで眺め、POGシーズンはディープインパクト産駒の取捨選択から始まるのが恒例であった。何度か社台スタリオンステーションで見学した姿も忘れられない。キングカメハメハステイゴールドがチャンピオン級の牡馬を輩出しているとはいえ、この15年間はディープインパクトを中心に日本競馬は回り続けていたというのは、紛れもない事実であったであろう。

一方でこのタイミングの17歳の死が「突然」のものであったかというと、そういうわけでもないのも事実。スーパーサイアーだった父サンデーサイレンスが死亡した16歳。毎年数多くの産駒を残しつつも、ついにディープインパクト自身も今年の春の種付けは中止していた背景もあり、ポストディープインパクト時代が目の前に迫っていることは、競馬ファンは意識していなかったといえば嘘になるだろう。そして「ディープインパクトの後継争いは本命不在」であることは避けて通れない観点である。これまでのディープインパクト産駒の立ち位置はなかなかに難しい。

  • 牡馬におけるチャンピオン級の不在

上記のような状況では後継として突き抜けるのがなかなかに難しいのは想像に難くない。そしてディープインパクトが舞台を降りたとはいえ「同系統のチャンピオン、キタサンブラック」「既に圧倒的な結果を出しつつある非SSのロードカナロア」「ウインドインハーヘアを持つキンカメ産駒のレイデオロ」などライバルは枚挙に暇がない日本競馬において、向こう10年のリーディング争いも正直ディープインパクト産駒は不利と言わざるを得ないであろう。ブルードメアサイアーとしても勢いの出ないディープインパクトの血が改めて脚光を浴びるのはポストディープインパクトの更にその次の時代になるのかもしれないなどとも思う。

ただ忘れてはならないのはディープインパクトもまたサンデーサイレンスの亡くなる前年に生まれた馬であり、またサンデーサイレンスとの争いにおいては同様の環境の中で、卓越した種牡馬成績を残したということである。誰もが期待するチャンピオン級の牡馬の輩出、更に言えば日本競馬界の悲願となってしまった凱旋門賞制覇をディープインパクト産駒が成し遂げる可能性は十分にまだ残っている。今はただディープインパクトへの感謝を、これからは残された産駒への期待を膨らませて、競馬を楽しんでいきたいものである。

などとディープインパクト主体で書くとなるのだけど、個人的には種牡馬戦国時代の方が、一口もお値段が目に優しくなりそうだし、POGも選び甲斐がありそうで楽しくなるのかなーなんて思ったりもする。ディープインパクトも17歳は若いとは言え、もう十分に産駒を残してるしね。どっちかというとディープインパクト牝馬を踏み台にして、SSの3×4を持ったモーリス産駒が日本競馬を席巻する方を期待したい。あとはもうグラスワンダーもいつもモリモリ草食べてる見学情報ばかり聞いてるとはいえ、かなりの年なので、もう一回くらい会いに行きたいなー。

あと感想を書き終えて、今となって感じるのはディープインパクトほどの名馬が現役生活を全うし、種牡馬としても十分な産駒と戦績を残せたことへの安堵感の方が大きいということかな。競馬を始めてすぐにナリタブライアンは2世代しか産駒を残せずに逝ってしまったニュースを聞き、サイレンススズカとの突然の別れに遭遇してしまった。それだけにグラスワンダーが今でも草を食べてて、後継種牡馬に恵まれて、ディープインパクトがスーパーサイアーとなったことは、競馬を始めた20年前から考えると、夢のような話ではある。