BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

ノモケンコラムに食いついてみる

不敗神話が終わって…

前半のディープインパクトが負けるチャンスを失っていたという文脈については、回顧でも書いたとおりそこそこ同意。ただ後半のいつもの三冠批判はやはりどうかと思う。

10月下旬まで、強い3歳馬を同世代に塩漬けにする現在の競走体系は、ここ10年で相当にチャレンジを受け、空洞化しつつあった。筆者が菊花賞に違和感を感じるのは、単に「3000メートル」だからではない。「10月下旬の3歳限定戦」であることの方が問題と思えるくらいだ。

確かに欧州では夏以降3歳馬が古馬に挑戦するのが普通で、実際凱旋門賞も3歳馬が圧倒的に強い。ただこれをそのまま日本に持ち込んで、だから秋の3歳王者決定戦は意味ないよ。と言い切ることにはやはり違和感がある。まず宝塚記念を使った3歳馬の後の成績を見ればわかるように、日本の馬はその生産条件から基本的に完成が遅い。これは社台生産のネオユニヴァースでさえ超えられなかった壁だ。10月の時点で3歳馬が古馬に挑戦するというのは肥沃な生産環境に恵まれた欧州だからできることであって、日本でそれをやると燃え尽きてあとが続かなくなる馬が多くなるのではないか。マイル〜2000ならばともかく、クラシックディスタンスで一流古馬と勝負するのは11月以降のほうが日本ではフェアに戦えてあっていると思える。

次に夏を越えて3000mで同世代と対戦という菊花賞のギミックはそこまで価値がないものなのだろうか。四季がハッキリして暑い夏をクリアして、さらに(今年はいなかったけれども)日本の生産条件ゆえ成長が遅れたきた晩成の同世代の馬たちの挑戦を退けるというのは十分ギミックとして価値があるように思える。

そして白駒食場さんも述べているようにディープインパクト古馬への挑戦をしなかったらともかく、有馬記念に出走し、体調不良ながら(直前のドタバタとか菊花賞回顧参照)2着に好走した。別に10月下旬に挑戦しなければいけない理由なんて基本的にはないと思う。もちろんJCに出てれば有馬でリベンジするチャンスがあったというのは事実。だが実際問題体調の問題でJCを選べなかったディープインパクトはその時点で古馬に足りなかったというだけで、それ以上でそれ以下でもないと思う。実際ルドルフは出てるんだし、去年のデルタブルースも両方使っている。それを菊花賞のせいにだけ還元するのは不思議。

今回の有馬記念の結果は天皇賞秋→JCという流れで暫定的に古馬最強馬となったハーツクライと、秋も上がり馬の挑戦を退けて(今年は出走すらしなかったが)世代最強の座に立ったディープインパクトが対戦した結果、前者が勝ったというだけで特に何も問題はないと感じる。もちろんディープインパクトの年内の挑戦は終わってしまったわけだが、無事でさえいれば天皇賞春だってある。ディープインパクトの物語は続いていくわけで、JCに出なかったことを愚痴愚痴いっても仕方ないだろうと。最後に

「スターづくり」という命題が、三冠という閉じた枠組みに回収されてしまったことの方が、今回の有馬記念の後味を苦いものにしたと思えてならない。

個人的にJRAディープインパクトの持ち上げ方はえげつないとは思った。だが実際競馬ファンがリアルにはほとんどいない管理人は、周りの一般人がディープインパクトの名を口にするようになった現実を見ると種をまくという意味ではそこそこ成功したのかなという気もする。特に最近のスポーツ界は一人、二人のスターによって業界全体が活性化するというパターンが増えてはいるし。これを三冠の枠組みに回収されないようにするために、これからマスコミや、競馬ファンがニューカマーにしっかり競馬の魅力を伝えていかねばならないという話であって、別に後味が苦いのはただのノモケンの個人的感情でしかないと感じる。