BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

秋華賞と菊花賞の幻想(後半)

なんだかんだで間が空いたが今度は菊花賞についてのテキストを。こちらもまずはラップタイムを見てみたい。秋華賞同様過去8年分である。

96年 13.4-11.6-11.6-12.6-12.7-13.1-13.6-13.0-12.9-12.5-12.0-11.7-11.4-11.3-11.7

97年 13.5-10.9-11.6-12.9-12.9-12.8-13.6-13.5-13.6-13.0-12.9-12.1-11.4-11.5-11.5

98年 13.3-11.5-11.7-11.7-11.4-12.1-13.1-13.5-12.7-12.9-12.3-11.9-11.6-11.5-12.0

99年 13.6-12.7-12.8-12.8-12.4-12.5-13.2-13.3-12.9-12.7-12.6-11.9-11.4-11.3-11.5

00年 13.4-11.2-11.5-12.7-12.7-12.2-13.1-12.7-12.4-12.4-12.4-11.9-11.9-12.1-12.1

01年 13.3-11.7-12.3-12.8-12.9-12.6-13.2-13.1-12.8-12.5-12.7-12.0-11.4-11.7-12.2

02年 12.9-10.7-11.0-11.7-12.0-12.4-13.6-13.7-13.5-13.2-13.2-12.6-11.6-11.7-12.1

03年 13.0-11.1-11.7-12.7-12.1-12.2-13.0-13.0-12.7-12.8-12.9-11.8-11.5-12.0-12.3

さてこちらも開催日程が変わった00年以降明確な変化が出ている。上がり4ハロンのタイムに注目してみると99年まではセイウンスカイが逃げ切った98年を除いて全て46秒台を記録しているが、00年以降は47秒台〜48秒台となっている。特に最後の1ハロンは00年以降は全て12秒台とわかりやすく変化している。これは当然日程の変化によるものとみていいだろう。99年までは4回京都は全てCコースで行われていて、菊花賞は5回京都Aコースのの開幕週で行われていた。夏を越して初めて使われるAコースともなれば当然芝は絶好で上がりタイムは速くなる。しかし00年以降は4回京都Aコースの3週目となった。これにより芝が良い京都といえども若干芝は荒れ気味となりになり上がりタイムもかかるようになった。

当然勝ち馬もステイヤー色が強くなっている。00年以降に優勝したSS産駒をみてみてもエアシャカールは切れで勝負するタイプではなくパワー型であったし、スローペースの申し子と言われるマンハッタンカフェも実際は本来SS産駒にとって鬼門のはずの有馬記念を制し、残り5ハロンから全て11秒台が続いた天皇賞春を押し切った「長くいい脚を使える」異色のSS産駒であった(それだけに凱旋門賞は残念だったわけだが)。ヒシミラクルファストタテヤマザッツザプレンティなどはいわずもがなである。たまに「開催繰上げで上がり馬が減った。昔のように遅咲きステイヤーが活躍できるように元に戻すべきだ。」という論調を耳にするが、実際は開催繰上げによりコース設定が変わりステイヤーが復権したという意味でこの変更は予期せぬJRAのヒットだったと個人的には考える。遅咲きステイヤーの上がり馬が菊花賞に間に合わないのはトライアルが2000mで設定されてるからであって日程(に伴うコース設定変更)はむしろ追い風となっているのだ。

またこれは日程変更とは関係ないが昔から言われる京都の坂を「ゆっくり上がって,ゆっくり下れ」という格言は単純には通用しなくなっていることも注意しなければならない。以前と比べてスピード色の濃くなった現在の長距離戦はスタミナに自信があるが切れる脚が使えない馬が前に行き、スタミナに自信がないが速い上がりに自信がある馬が後方にという展開になる。その結果ステイヤータイプが勝つためにはある程度平均的な脚を使って、まくり気味に進出して後続の脚を封じるレースをしなければならないし、そのようなレース展開のときは後続は脚をそがれて中距離タイプの馬は追い込むも3着〜5着となりやすい。逆にスローのまま直線を迎えれば上がりに自信のある中距離適性の馬に差されてしまう。つまりペースが上がれば前が残り、ペースが落ちると後ろが届くようになるのである。

さて上記を踏まえて今年の出走馬を見るに、まずラップ11秒台〜12秒台でしか走れないコスモバルクは話にならない。血統的に中距離ベストの馬が上位に食い込むには追い込みという選択肢しか残されていないわけで前に行けば確実に潰れるであろう。そしてバルクが速めのペースで先行した結果、後ろで脚を溜める上がりに自信のある馬は飛ぶ可能性が高くなる。母が2000m以下で活躍したハーツクライは中距離ぴったりのアドマイヤベガ型に見えるだけに過信は出来ない。またダービーで早めに動いた結果最後だらしなくなってしまったハイアーゲームも微妙なところ。スズカマンボは血統的には祖母がダンシングキイの全妹で母父もミスプロでありながら2400で強いキングマンボだけに押したいが、スタミナ勝負のレースを経験してないだけに何とも。オペラシチーは外からまくってジワジワ伸びるタイプだけに悪くないが2000mしかレース経験がないのがどうでるか。血統的にもレース内容的にも推したいデルタブルースは外枠に入ってしまった。強制的にスタミナ勝負のロングスパートレースになりそうなのにそれに向いている馬が少ないという困った状況なわけだがとりあえずハーツクライはかなり危険な雰囲気がするということを述べてこのテキスト終わりたい。結論が微妙で申し訳ない・・・。