BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

秋華賞と菊花賞の幻想(前半)

秋華賞の予想において、2週目になってからはレースの質が変わって秋華賞=荒れるというイメージは過去のものとなったという旨を書いたところ、レース後結局前が潰れて今までとあまり変わってないのではないかというツッコミを食らったので、秋華賞の反省&菊花賞の展望を含めて、改めて考察してみたい。まず秋華賞についてのおさらいから。9年分のレースラップを並べてみる。

96年:12.3-11.3-11.6-11.8-11.7-11.6-11.6-12.1-12.2-11.9

97年:12.3-11.1-11.6-12.1-12.1-12.8-12.2-11.9-11.9-12.1

98年:12.5-11.4-12.5-12.7-12.8-12.4-11.9-12.1-12.0-12.1

99年:12.4-11.2-11.4-11.6-11.8-12.0-11.9-12.0-12.5-12.5

00年:12.4-11.2-12.4-12.4-12.4-13.1-12.1-11.5-11.2-11.2

01年:12.1-10.5-12.2-11.8-11.8-12.0-12.2-12.3-12.0-11.6

02年:12.3-10.8-12.0-11.9-12.0-12.3-11.9-11.5-11.6-11.8

03年:12.5-11.0-11.9-12.2-12.2-12.1-11.7-11.6-11.9-12.0

04年:12.4-11.0-12.1-12.4-12.0-12.0-11.6-11.7-11.6-11.6

今年も含めてラップを眺めて見ると、やはり2週目に変わった00年以降ラップの刻み方が変わっている。3週目に行われていた時は98年以外の3回が2ハロン目、3ハロン目に11秒台前半を刻んでいる。しかし00年以降は3ハロン目は12秒台(去年は11.9だが)を刻んでいる。このことから開催時期が変わって以降先行争いが緩くなっているということが言えるのではないだろうか。ではなぜこのような変化が起きるのか。サンプル数が少ないとの指摘は当然ありうるのでその具体的な理由を考えてみたい。

単に週が繰り上がっただけでペースが速くなるというの根拠に欠ける。しかし日程と同時に重大な変更がなされていることを見逃してはならない。それはコース設定の違いである。3週目に行われていた時期、4回京都は全てCコースで行われていた。当然秋華賞もである。しかし2週目になってからはAコースに変更された。このことによって何が起きるか。それはスタートからコーナーまでの距離の違いである。Cコースの場合コーナー半径は大きいため、全体におけるコーナーの割合は増えて、結果的にスタートからコーナーまでの距離は近くなる。一方Aコースはコース全面を使うわけだからコーナー半径は小さくなり、コーナーまでの距離は遠くなる。具体的な数字を出すとCコースの場合スタートからコーナーまでの距離は235.6m、Aコースの場合はコーナーまでの距離は308.7m、その差70mである。このことによる変化は何か。Cコースで行われていた頃はスタートからコーナーが近いため、先行争いが1コーナー、2コーナーまで持ち越され激しくなりがちだが、Aコースの場合は70mの余裕があるため隊列が若干決まりやすくペースが落ち着きやすいということである。そしてそのことが具体的に現れているのが3ハロン目の時計の違いと考えられるのだ。

上記のことからやはり00年以降レースの質が変わっているということは多少説得力を帯びるのではないかと思う。では次に「先行争いが緩くなった=荒れない」か。これについては予想の際に多少詰めの甘さがあった感を否めない。今改めて考えた結果正しくはこう予想するべきだった。「レースの質が変わり先行争いが緩くなった結果、ステイヤー血統の差し馬の穴馬が台頭する可能性は減った。だが逆にマイラー系、もしくは瞬発力勝負に優れる差し馬から穴馬が現れる可能性が高くなった」

ラップを改めてを見てみると、3ハロン目が12秒台で通過できると相対的に後半のラップは速くなり、ラスト4ハロン11秒台連発の中にせいぜい一つ12秒台が混じるパターンとなる。その結果3ハロン目が遅い年の連対馬の血統はマイラー系の馬が台頭している。99年以前ながら3ハロン目が12秒台の97年にはキョウエイマーチ、00年にはヤマカツスズラン、01年にはテイエムオーシャン、02年はファインモーション、今年はスイープトウショウヤマニンシュクル、3着ウイングレットと本来マイルベストと思われる馬が好走を繰り返している。これは一般の秋華賞のイメージ、ハイペースでステイヤー血統の追い込みが一発というものとはかけ離れていると言えよう。Aコースで行われる秋華賞マイラー系、もしくは瞬発力勝負に優れる差し馬を狙うというのが正しい解答なのである。

以上のことから改めて今年の秋華賞を振り返ってみると穴人気したヤマニンアラバスタヒカルドウキセイはあくまでCコース時代の穴馬であって今となっては買えない。逆にスイープトウショウヤマニンシュクルなどマイル得意の差し馬明らかに買いだ。問題はダンスインザムードである。桜花賞を制しオークスでは掛かり気味になってしまった同馬はやはり本質的にマイラー(笑)と考えるのが筋であろう。ただし今回はペースが落ち着きすぎた結果、4ハロン目から仕掛けざるを得なかった。これはサンデー産駒にとってはきつい流れだ。また自身のイレこみも酷く精神的な問題も大きかった。

だらだらと能書きを述べたが来年以降の狙い方を簡潔に述べて前半を締めたい。まず強い先行馬は残る。差し馬を買うならマイラー血統。ステイヤー血統の差し馬は買ってはいけない。またサンデー直仔は差し馬なら買い。先行馬はミドルペースなら買えるが、スローだと4ハロン目からプレッシャーをかけられて伸びきれない可能性があるため割引が必要。これらをベースすれば大きく外した予想はしないと考える。今から来年の秋華賞が楽しみなわけだが後出し感もあるので、後半は菊花賞の変化についてレース前に言及してみたい。