BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

技術の暴走が生んだ悲劇と言ってかもしれない

今年のダービーはとても見ごたえのあるレースであった。しかしレース直後から懸念されていたようにここにきて故障のニュースが続いている。マイネルブルック予後不良に続いて、コスモサンビームの骨折(競争能力喪失の可能性が高い)、そしてアドマイヤビッグの骨折。単にレースが厳しかったというだけではすまされない。ボコボコの荒れ馬場なのに異様な好時計が出ていた馬場が影響しているといわざるをえない。ではなぜこのような馬場が生まれてしまったのか。

確かに今週に限っては週末の雨予報のせいで散水が足りなかったということもあるだろうが、それだけでは前開催の中山でも時計が速かった理由にはならない。というのも具体的な例を出すと98年春から01年春までの中山芝2000m(良馬場)での2分を切った回数は77回中5回、しかし01年秋から04年春までの中山芝2000m(良馬場)での2分を切った回数は78回中15回にもなっている。データにも顕著にもJRAの高速馬場への傾斜があらわれている。JRAの馬場の作り方が変わったというほかない。何が発端で変わったかと考えると一つの仮定をすることができた。

それは東京競馬場改修に伴う中山連続開催によって馬場造園課の技術力の向上が原因であろうという推測である。連続開催の際に何とか馬場を持たせるため中山の馬場は野芝中心に固く固く仕上げた。緑色の砂を撒くということまでしたとも言われている。その結果何とか開催を乗り切り、また時計もかからない高速馬場を保つことに成功した。そしてJRAが見た目が緑で時計が速い馬場を最高の馬場だと考えている結果、高速馬場を保ち続ける中山での馬場作りの技術が他の競馬場にも使い回されていると思われる。

しかしファンはスターホースがレコードを出しては怪我して引退する競馬などを望んではいない。あくまで時計は付加価値であり、何度も見せるレースでのパフォーマンスこそがファンを惹きつける。さらに言えば芝レースというのは開催が進むにつれて内が荒れ、外差しが届くようになり、時計がかかるのが自然なものである。無理に時計だけを維持し見栄えだけを気にした結果が、ダービー出走馬の故障続出、来週からのAコース使用による内枠有利の不公平馬場発生では笑うほかはない。JRAはもう一度考え方を見直し、馬に必要以上に負担のかからない、有利不利の少ない馬場作りを目指してもらいたい。派手なCMをするよりもファンを惹きつけるために大事なことをよく考えて欲しいものだ。