BrainSquall

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【第28回ジャパンカップ】ターフに驚異ともに、銀幕の英雄が舞い降りた

10年前。まさかの6着にこんなはずではないと呆然としていた。ライバルの快勝を眺めながら、ただただ復活を祈っていた。3週間前、真一文字の伸びてくる姿に、こんな親父の越え方もありかななんて、微笑ましい勝利を祝った。そして、今日。グランプリ馬を呑み込み、ダービー馬を引き連れて、東京の直線を堂々と駆けあがってくるその姿に、僕は一瞬目が眩み、そして叫んだ。

「グラス最強!」

晩秋の東京競馬場をウイニングランしている姿は、まさに銀幕の英雄というに相応しく、僕の脳裏にはあの朝日杯が、毎日王冠が、有馬記念が、宝塚記念が駆け巡った。世代は変わっても受け継がれていく、この喜びの中にに身を浸らせながら、これから続くであろう夢の続きに僕は・・・思いを馳せたんだ。

2008年11月30日、スクリーンヒーローが、グラスワンダー産駒が、ジャパンカップを勝ちました。

レース結果

第28回 ジャパンカップ

レース映像

レース回顧

ダービー馬3頭の戦い、菊花賞馬、グランプリ馬の参戦。外国馬を除けば(というのがちょっと矛盾しているが)、史上まれに見る豪華メンバーとなった今年のJC。しかししかし、制したのは愛するグラスワンダー産駒のスクリーンヒーローだった。ダートでデビューを果たして、オープン入りすると、3歳時にはラジオNIKKEI賞セントライト記念を2着。いかにもパワー型の、非根幹距離がピッタリな印象のグラスワンダー産駒というイメージだった。骨折で休養に入った後、札幌で鮮やかに復帰戦に勝利すると、準オープンを2着2回。そしてアルゼンチン共和国杯を3番人気を勝利する。勝ち方は素晴らしかったが、なにせ谷間のG2なんて思っていただけに、JCはまずは経験となって、来年に生かせればなんて思っていたのが大方。しかし振り返れば、ここ2戦は上がりの3ハロンはともに33秒台。3歳の時とは馬が変わっていたのだ。

豪華メンバーとはいえ、外国馬も少なく、折り合いに難がある馬が多かっただけに、ラップは12.6-11.6-12.4-12.6-12.6-12.8-12.6-12.0-11.9-11.2-11.3-11.9で、前半は61秒台でおさまった。それだけに先行馬有利だったのは確かだが、外から楽に追走して、34秒ジャストでまとめあげての勝利は、とにかく過去2戦を含めて馬が変わっていることを指し示している。決してフロックとはいえないだろう。的確に流れを読んで先行馬をマークし、直線抜群のタイミングで、伸びるコースに導いたデムーロの騎乗も見事としかいいようがない。会心の勝利。

冷静に考えると、この馬のキレ味は母父SSの血が為せるわざなのだろう。SSの能力の高さには脱帽するしかない。ただ末脚の持続力、楽に先行できる気性は紛れもなく父から受け継いだ能力。まさに父の最高傑作といえよう。ていうか、先行できて、33秒台であがれて、折り合いにも難が無くて、スタミナも豊富で、洋芝も、ダートも走れるとかマジ最強すぎるんじゃないの、うふふふ。あーもう有馬も楽勝だわ、これ。ダスカとか目じゃないね。つかドバイ行ったほうがいいんじゃないの。というわけで、体調に問題がなければ、有馬記念→ドバイ→天皇賞→海外一叩き→凱旋門賞というローテーションがいいんじゃないでしょうか。デムーロも乗れるし。うん、これで行こう。ごめん、やっぱ冷静じゃなかった。

・・・もう語り尽くした感じがあるけど2着以下。2着のディープスカイは位置取りの差。というか、良くも悪くも四位らしい馬任せの競馬。あの位置取りでここまで来るのだから、能力の高さは見せている。ただこれウオッカのときにも書いたけど、馬の能力を引き出すことに固執するあまり、自分からレースを作る意識に欠けるのが四位の弱点。それが今回も出た形で、この乗り方がが続くようならまた乗り替られるんじゃないだろうか。一方3着のウオッカは距離不安の中、頑張った。というか、道中も力んでいただけに、直線で一瞬沈んだときには掲示板もないと思ったのだけど、正直驚いた。これで3着というのは馬の底力ともいえるけど、何よりそれを引き出した岩田の騎乗が凄すぎる。まさしくこれが能力を120%出し切らせている騎乗というもので、そういう意味で四位より、武豊より岩田のほうがウオッカには合っているといえよう。4着マツリダゴッホは不得意な舞台でよく走っている。定石通りなら有馬記念は勝負圏内だろう。スクリーンヒーローが勝つけど。実は◎だった5着オウケンブルースリは流れが落ち着きすぎた。あとは本当の一線級との初めての勝負だったというのもあったのかも。能力は示しているし、来年のJCあたりは要注意。スクリーンヒーローが勝つけど。メイショウサムソンは衰えもあるし、ペースが落ち着きすぎたのもある。○アサクサキングスは想定外というか、がっかりのルメールの騎乗。先行させて引っ張れという話。持ち味を出し切れなかった。出し切れてもスクリーンヒーローが勝ったけど。

とにかく最高だった今年のJC。天皇賞秋は今年のベストレースと言ったが、JCは過去8年(というか、グラスの最後の有馬記念以来)の全てのレースの中でのベストレースとなった。あーもうグラス最強。スクリーンヒーロー最高!君は紛れもなくヒーローだ!

(私信)レース直後に祝電を送ってくれた殿下、ぶかさん、いわさしさんありがとうございました。こんな日が来るなんて本当に・・・。そして現地に行かなかったのはご愛敬と言うことで・・・。有馬は参戦しますよ!

レース後のコメント

◇1着スクリーンヒーロー

デムーロ騎手 先生には馬の力を信じて好きに乗って欲しいと言われていた。道中はいい位置につけて手応え良く進めていたし、攻め馬の動きが良かったマツリダゴッホをマークして乗っていた。それに馬が集中して走ってくれたからね。デキの良さを含めて、すべてがうまくいった感じで最高のレースができたと思う。今年はレベルの高いメンバーが揃っていたが、ここに参加できて良かったし、自分自身もジャパンCを初めて勝つことができて嬉しい。日本のファンにはいつも暖かい声援を送ってもらっているので感謝している。

→全てがうまくいったのは事実だが、それを持ってきたのはデムーロの騎乗でもあり。マツリダゴッホマークは向こうの伸びを欠くタイミングもあわせてばっちりだったよな。

◇2着ディープスカイ

※四位騎手 前走のようにハミを噛んでしまっては最後まで保たないと思っていたので、スタートに気をつけていたが、リズム良く走れたし、4角でも十分な手応え。勝った馬は交わせると思ったんだけどね。向こうも渋太かったよ。1番人気の責任を果たせず残念。期待の大きな馬だから、こういう遅い流れでもしっかり結果を出せるようになることが来年以降のテーマかな。

→まあ強い競馬をしているけど、後方から行く馬の宿命でもあり、四位騎乗の宿命でもあり。ただやはり東京芝2400は世代限定ならともかく、古馬と混じると長いのかなという気もしないではない。

◇3着ウオッカ

※岩田騎手 結果的に今日はスローペースだったことが応えていた。本当はもっとフワッと出てくれればいいけど、ゲートの出がいいので、そこで馬に逆らわずに前に行く形に。位置取り的にはこれでいいけど、ちょっとムキになってしまった。折り合えばもっと弾ける脚を使ってくれる馬だけどね。それでも最後まで渋太く頑張ってくれたよ。

→この馬の場合距離よりもペース的なものが問題だからなあ。スローの時は無理矢理にでも溜めていかないとダメなタイプなのだろう。早めに流れれば逆に好位追走でも脚を使えるのに不思議だねえ。