BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

【第38回高松宮記念回顧】例年とは違うリズムが求められた春のスプリントG1

日本にある2つのスプリントG1は距離は同じ1200だが、全く異質のものとなっている。中山の坂から転げ落ちるようなコース形態野上に、夏にじっくり生育された、パンパンの野芝の高速馬場で行われるスプリンターズS。そして使い込まれた冬のオーバーシード馬場で、追い込みが効きやすいスパイラルカーブの中京で行われる高松宮記念。前者はアメリカ的スタートの早さ、一息に走れるスピードの持続力・パワーが問われ、後者はオーバーペースに巻き込まれずに脚をため、いかに4コーナーをうまく回って直線でトップスピードを乗せられるかが勝負となる。このような特徴を持つため、前者の好走馬はアメリカ寄りスピード血統、距離適性が短めとなり、後者は1200のリズムに慣らされすぎていない、息を入れて走ることを覚えている馬が馬券となる。とまあ、こんなことは誰でも今となっては有名な話。オッズもそれを踏まえて1200にしか良績がない馬よりも、1400あたりに実績がある馬に集中した。しかし得てしてこういうものは皆が気づいたときに崩れるもの。出走馬自体も距離適性が長めにシフトした結果、逆に好位をサッととれるスピードを持った1200のリズムを刻んできた馬の勝利となった。

勝ったファイングレインは1200を2戦しての競馬。去年までだったら最後差されていたかもしれないが、これだけ距離適性が長めにシフトした競馬となれば、この馬のスプリント能力が大きなアドバンテージとなった。怪我からの復帰は見事で陣営の努力は立派のひとこと。フジキセキ牡馬の芝G1勝利ははじめてで、SS系種牡馬の先駆者のプライドを見せつけた形となった。そして2着もフジキセキ産駒のキンシャサノキセキ。南半球産だけにやっとフィジカルのバランスがよくなってきたのかなという印象。こちらも距離適性的にはトレンドと逆をつけたのが好走要因。そういう意味では両馬ともに、今後ここまでハマるG1があるかは未知数。またこの2頭の注目はNHKマイルC好走馬であるということ。殿下もチラっと書いているが、今の微妙なNHKマイルCのひとつの形を見せつけたは確か。というのも3歳春に東京マイルを力業でねじ伏せられる馬は大抵クラシックに向かってしまう昨今、NHKマイルCは「マイルにも微妙に自信がないくらいスピード寄り(緩急のあるラップが苦手な馬ともいう)の馬が集まるレース」となってしまっていて、非常に中途半端なG1になってしまっている。今年の高松宮記念のような「マイル寄りだけどスプリント能力も欲しい」みたいな中途半端なG1はそうはないだけに、今後もNHKマイルCの好走馬はこんなパターンで来るしかないのかなという感想を持った。

前年の覇者スズカフェニックスは出負けも効いたが、なによりレースの流れがスプリント過ぎたともいえる。この馬は1400ベストといった馬だけに今回の展開は厳しかった。4着ローレルゲレイロは骨折が発覚で残念な限り。5着スーパーホーネット安田記念で見直したい。

◆レース後のコメント

◇1着ファイングレイン

※幸騎手 今日はゲート出たなりの位置でと考えていましたし、道中はこの馬の形で運べました。前とは少し差がありましたが、手応えに余裕があったので気にはなりませんでした。4角でも手応えは十分にあったし、追ってからの伸びは文句なし。本当に強い勝ちっぷりを見せてくれましたね。

◇2着ファイングレイン

※岩田騎手 初めて乗ったけど気分良く走らせられたと思う。1200mの流れにも戸惑う様子はなかったしね。結果は2着でも強い内容のレースだった。いい瞬発力があるね。

◇3着スズカフェニックス

※福永騎手 もともとスタートの上手な馬だし、ゲートの中でも躓くような態勢ではなかったんだけどね。今日のは不運としかいいようがないよ。その後は何の不利もなくスイスイと捌いて行けたし、最後も本当によく詰め寄ってくれた。悔しい内容だったね。