BrainSquall

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【第26回フェブラリーS回顧】若き4歳馬2頭が見せつけた鮮やかな世代交代劇に震えた

2008年、王者は不死鳥のごとく蘇った。それは才能だけで走っていた3歳馬たちに、経験が、継続が、執念がモノをいうダート競馬の奥深さを見せつけた結果となった。そして2009年。王者の壁に跳ね返され続けた若馬たちは、今度は挑戦し続けることで成し遂げられるモノがあるというダート競馬の醍醐味を見せつけてくれた。鮮やかな世代交代劇。最強牝馬の不在を感じさせない若馬の意地とプライドを見せてくれたような素晴らしいレースだった。

レース結果

第26回 フェブラリーステークスレース結果

フェブラリーSレース結果映像

レース回顧

正直ヴァーミリアンの調整の狂い、カネヒキリの内枠からここで世代交代劇が起きる予感がしていたのは事実だ。しかしそれがあの2頭になるとは・・・。ダート競馬がなんたるかを改めて教えてもらった気がする。レースを振り返ってみよう。

ダッシュよく行ったのがエスポワールシチー。鞍上から考えても緩いペースにするとは思えなかっただけに、これは大方の想定通りだろう。7歳馬2頭はというと、心配していた内枠も気にせず、揉まれずに好位をキープするカネヒキリと外からそれをマークするヴァーミリアン。一方ここで4歳馬は外枠を利して、好位につける。他馬も思い思いの自分の位置につけた、この時点で良いレースになる予感がしたといっていい。そのままエスポワールシチーが引っ張る流れで隊列かわらずに1000m通過。時計の出やすい馬場状態とはいえ前半58.8だからこれはなかなか厳しいミドルペース。しかもここからさらに加速。こうなると完全にスピードとスタミナ双方問われる厳しいレースとなるのも当然だ。直線に入ると一足先に仕掛けるエスポワールシチーカジノドライヴが猛然と捕らえにかかる。追いかけるカネヒキリと、外からサクセスブロッケンエスポワールシチーが残り200で力尽きると、追う3頭の火が出るようなデッドヒート。カジノドライヴが王者を沈めたところで、外からグイッと出たサクセスブロッケンが、ダート戦線に鮮やかな世代交代を告げたレースとなった。全体のラップは12.7-10.5-11.9-11.9-11.8-11.3-12.1-12.4。前半から厳しい流れになったし、先行した馬が最後まで止まらずに押し切ったスピードと持続力が両方問われたレコードタイムだから非常に価値は高い。高レベルのG1らしいG1だったと言い切れるレースといっていいだろう。

勝ったサクセスブロッケンは去年は古馬の厚い壁に跳ね返され続けてきた。しかしその挑戦が今回の勝利を生んだと言っていい。東京ダート1600で外枠という好枠に入ったのも大きかったし、距離が短縮されてスピード勝負になったのも良かったのだろう。鞍上も目標・ペース何一つ誤りのない素晴らしい騎乗だった。今後まだまだ成長が見込める馬だけに、今後楽しみなのは間違いない。今後は2000mでも強い競馬ができるようになってくるだろう。自分から動く競馬ができるのも魅力的。しばらくは逆らえないところだ。

2着カジノドライヴは負けてなお強しの競馬。王者を自分から動いて沈めたのは素晴らしい走りだったといっていい。上がり目という面でみると、能力的には微妙だが、体調的にはまだまだありそう。次はドバイに向かうのだろうが、調整さえ上手くいけば、そこそこ期待できるのではないだろうか。勝てるパフォーマンスかというと微妙だったが、スピード勝負に対応できたのも含めて前哨戦としてはベストに近かった。芝での走りもみてみたいところだ。

3着カネヒキリもよく頑張ってはいる。今回の走破タイムが勝ち馬と同じレコードの1.34.6で、2年前勝ったときが1.34.9。今回はインぴったりを回って、対応しては見せたが、年齢的にこれだけ速い勝負になると厳しかったのも事実だろう。能力に衰えはなく、2000mでスタミナがより問われる競馬になったら、再逆転もありえるかもしれない。ただ脚部不安を考えると、個人的には十分走りを見せてもらえたし、引退してもいいんじゃないかなという気も。これが芝なら悩むことはないのだろうが、ダートだと種牡馬価値として認められるために現役続行しそうでもあり、何ともいえないところだ。

今回のレースを演出した隠れ?MVPがエスポワールシチー。こちらも自分でレースを作って0.2秒差なのだから相手が悪かったとしか言いようがないが、素晴らしい走りだった。コーナー4つの競馬場だったら、もっと肉薄できたかもしれない。これからが楽しみな4歳馬だ。5着フェラーリピサは力は出し切っている。6着ヴァーミリアンは調整の狂いもあっただろうし、スピード競馬が辛かったというのもあるだろう。去年が1.35.3で勝って、今年は1.35.1。自分の能力は出し切っているとの見方もできる。ただこれで対カネヒキリで全敗は変わらず。勝負付けが済んだと思われても仕方がないところで、ヴァー的には辛いよな。個人的に期待していたヒシカツリーダーは10着。まだまだ雑巾がけが足りなかったと言うことか。

勝ち続けていた王者に、厳しい流れのレースで世代交代を見せつけるという非常に見応えのある本当に良いレースだった。ただやっぱりG18勝の壁だけは越えられないんだよなあ。まあ挑戦し続けることが大事なのは今日のレースで改めて教えられたことだし、これくらい高い壁が日本競馬にあるというのはそれはそれでいいことかもしれない。これでブルーコンコルドあたりが更新というオチつきそうで怖いけどw

 

レース後のコメント


◇1着サクセスブロッケン

※内田博騎手 カネヒキリカジノドライヴヴァーミリアンにどれだけ食らいついて行けるかと思っていたんですが、前走より馬にやる気が出ていたので、自信はありました。直線はカジノドライヴがよく粘っていたので、捉え切れるかな、と不安だったんですが、最後はハミを取ってグイッと伸びてくれました。道中、ハナにはこだわらず4〜5番手でもいいと思いながら乗っていたら、それが馬に伝わったようで、リズム良く走れました。その分、最後にもうひと伸びしてくれたんでしょうね。こういった接戦では騎手の腕を試される部分もあるので、勝てて良かったです。馬の力も大きかったですね。今年最初のG?をこういった形で勝てて、関係者の皆さんには感謝しています。まだまだ成長しているので、これからが楽しみです。

◇2着カジノドライヴ

※安藤勝騎手 3角まで凄くいい感じで運べたし、瞬発力勝負にならないように早目に動いて行ったのも予定通り。最後まで止まっていないんだけど、残念だったね。凄くセンスのいい馬でこれからまだまだ楽しみな馬。今日は距離経験がなかったことも影響したかも。

◇3着カネヒキリ

ルメール騎手 凄くいいレースができたとは思いますが、前走に比べると少し疲れが見られた分、最後の切れが鈍かった気がします。それにこのところ2000mくらいのレースが続いた分もあるかも知れませんね。