BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

虹の女神 Rainbow Song [DVD]

それはもう全く期待していなかったのだが、予想外によかったことに驚愕。上野樹里蒼井優コンビは亀は意外と〜に続くヒットを記録。★5でもいいかなと思ってるくらい。理屈バカと言われる僕ですが、意外と岩井俊二作品は好きだったりする。映像から感情の動きを描き出すんじゃなくて、感情そのものを映像に浮かび上がらせちゃう絵作りは才能だよね。監督の熊澤尚人もニライカナイではイマイチだったけど、今回は全然よかった。まあもともとあれは無理なテイストだったんだろうなと今コレ見ると思うが。




以下ネタバレあり





基本的に主要人物が死ぬ物語というのは評価が厳しくなるのですよ。泣いて当たり前だし、使い古されてるから。てか、命の期限を切られたときの心の動きなんて、そんな綺麗なものなのだろうか本当に、と思ったりもするしね。

にも、関わらず虹の女神が予想外によかったのは、ひとつに最初にヒロインを殺してしまう、しかもそれを命の期限を切るのではなくて、突然事故でという設定に持ち込んでいること。こうなると観客ははて?どう思い入れを持てば?という気持ちになってしまう。そうすることでヒロインの死を受け止められずにいる主人公の「え、ホントに死んじゃったの」感にシンクロさせることに成功している。そのあと丁寧に出会いから描き、再度ループさせて繋げ、さらに先に進めることで、主人公と観客に「失ったもの」を再認識させ、気持ちを寄り添うことを可能としているわけだ。これは観客のどうせ死んじゃうんでしょ感の回避にも繋がるし、うまく感情をシンクロすることもできるわけで。

さらに手が込んでいるのが、劇中で描かれる自作映画が「地球最後の日」という「命の期限が切られていること」を描く物語であるということ。ここで学生の撮った自主映画という形をとることで、人が死ぬ物語のチープさを見せておきながら、現実では突然にヒロインの命を奪うという設定を重ねることで、失うことの現実感のなさと、その現実を酷なまでに鮮やかに描いてる。これは戦略的だよなあ・・・うんよかった。

設定の作り方だけじゃなくてもキャストがなかなか。ちょっと女っぽさの抜けた不器用なキャラな上野樹里といい、どこまでいってもダメな市原隼人といい、酒井若菜といい、僕の趣味にあうよねえ。ま、言わずもがなだが、蒼井優は存在感があるぜ。情熱大陸全盲の役をやる〜みたいなコメントがあったのが、これだったとは。脇役に徹しながらも、ぶれない演技は流石だ。ガッチリ物語を締めている。特に最後の手紙シーンは蒼井優以外にはできないだろう。あれはやばい。それに浴衣姿にも萌えるしww

全く話題になってなかったので期待してなかったけど、その分結構出来がよくてびっくりしたぜ。何気にオススメ作品。唯一気になったのは鈴木亜美が出ていたらしいが、空気だったことくらいだw