BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

【日本ダービー回顧】ディープインパクトが今必要とされる理由

【東京優駿】(東京)〜戦慄の大外一気!大本命ディープインパクト5馬身差V

東京10Rの東京優駿日本ダービー・3歳GI・芝2400m)は、単勝1.1倍の1番人気に推された皐月賞ディープインパクト武豊騎手)が、2着以下に5馬身差をつける圧勝で2002年産サラブレッドの頂点に立った。勝ちタイム2分23秒3。

4年連続で見に行った日本ダービー。レース直後の空気は例年にない不思議なものであった。ディープのケチがつけようのない圧勝に対するどよめきと、呆気なく終わったことによる多少の空虚感。ユタカコールが起きなかったのも極めて納得できる不思議な感動と違和感の同居した雰囲気が競馬場に満ちていた。その感情は競馬場に感じただけでなく、自分の中にも感じただけに家に帰ってネットにつないだとき、賛否両論というダービー回顧には思わず納得してしまった。

考えてみるに今回このような違和感が生じた理由、よく言えば冷静な、悪く言えばひねくれた感想が多かった理由はひとえにレース前のディープインパクト一色となった異様な盛り上げ方に尽きる。勝たなくてはいけないという雰囲気を徹底的に作り上げたJRAと競馬マスコミ。コレに対していや競馬はそんな簡単なものではない、大本命馬勝って当たり前なんていうのは競馬の面白さではないという論調が出てくるのは極めて正常なことであろう。そもそもディープインパクトは日本向きの語るべき要素を持っている馬ではない。母系も海外、父もサンデーサイレンス判官びいきである多くの日本人、さらにいえばわざわざネットでダービー回顧をするようなヲタな人たちに好かれるような馬ではない(笑) 極めて感情移入がしにくい馬に対し、このような盛り上げ方を必死でしたJRAと競馬マスコミに疑問の目が向けられるのは理解できる。

しかしそれでも私は今回のダービーを近年にない素晴らしいものだった思う。なぜなら競馬がもしギャンブルでなくスポーツであると認められていくためには華のある絶対的強者というものが存在が必要だと考えるからだ。これは時代がどうこうとかの問題ではない。常にスポーツファンには絶対的強者を求める層が存在する。なぜならスポーツとはその一定のルール(制約)の中でその高みを極めるものである。その高みを体現するものいてこそ他のキャラが映える。ドラマを持って語られる、感情移入できるキャラが存在する。スラムダンクでいえば山王、沢北の存在がいなければ湘北、桜木は映えない。絶対的強者がいてこそ、断固たる決意をする存在が生まれ、彼らは主役となりえるのだ。

今回の騒ぎをスターホース欠乏症と切って捨てるのは簡単なことだ。年季の入った競馬ファンなら誰もがそういう感情を捨てきれないのは当然である。だがここ数年競馬がつまらないと嘆く人々もまた彼らであったのではないだろうか。もっといえばあるスポーツが市民権を得るにはそこには記号的存在が必要である。そのスポーツを代表する存在がいてこそ、これまで興味のなかった層を惹きつけることが可能となる。確かにディープインパクトは現時点では「作られたスターホース」である感は否めない。しかしここ数年の競馬はスターホースを作ることさえできなかった。レールが引かれていたといえ、それに乗り続けることは図抜けたの能力が必要である。今後ディープインパクトが作られたスターホースから真のスターホースになるのか、いやそれに反逆する存在がまた生まれスターホースはそこから生まれるのかもしれないが、何にせよディープインパクトにとっても他馬にとっても、今回のダービーは序章でしか過ぎない。ディープインパクトにという明確な高みが作られた以上、そこに挑戦するものはこれから生まれるであろう。確かに物足りなさが残ったダービーではあるが、ダービーはあくまで通過点だ。今の時点では私は稚拙な盛り上げ方、レールの引き方であったとしても、それに見事に応えたディープインパクトと勝負の場としては多少の物足りなさはあるにせよ、レースを壊さななかった他馬、特に全力でディープに対抗したインティライミと佐藤哲を称えたい。たまにはこういうフェアすぎる競馬があってもいいではないか。圧倒的な実力馬がそれをスムーズに発揮する。それもまたスポーツの形のひとつである。

一応追記:要するに本来はもっと他馬がディープを潰しに行くべきだったとは思うけど、周りのライトファンがこれだけ盛り上がってくれてるのを見ると、ダービーくらい大目に見てあげればいいんじゃないの?という感じです。少なくとも僕の周りでは競馬に全く興味のないギャルがディープインパクトの名前知ってたしw もちろん菊花賞でこんなヌルい競馬されたら問題だが。