BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

終わりがある美しさと紡がれる強さと

「今日が終わらないでくれ、というくらい嬉しい」

優勝を決めたヒーローインタビューで家長昭博がそう発言した瞬間に、3年前と打って変わって、積み重ねた勝ち点差と圧勝で冷静に優勝の瞬間を見ていた自分の中で、優勝の迎える喜びが弾けた瞬間が訪れた気がした。

「終わりがあるからこそ美しい」

今年で引退を決めた中村憲剛の妻の加奈子さんは、憲剛の引退を告げる長男への手紙にそのように書いたという。右肩上がりの5年間、今年の奇跡的とも言える憲剛の活躍は期限があったからこその輝きだったのは今となってはよくわかる。

終わりがあるからこそ美しいし、だからこそ終わって欲しくないと感じてしまう。エンターテインメントの価値はその刹那の輝きが生むエモさである。その瞬間を追い求めて、サッカーを競馬を、自分は追い掛けている。3度目のリーグ優勝。勝ち慣れてきたチームを見続けている中で、今年は冷静に受け止めるんだろうなーという自分の感情に対する予想を裏切ってくれるのだから、やはりスポーツ観戦は面白い。

きっとその刹那は紡がれてきた物語に支えられている。

交代時に中村憲剛にキャプテンマークを渡す大島僚太
優勝の瞬間に抱き合う小林悠

積み重ねられてきた歴史は次の爆発への序章となるのであろう。今年のフロンターレの戦いはまだ続く。最後に残した中村憲剛の宿題、天皇杯を制したときの瞬間は果たして、どんな風景を、言葉を目にすることができるのだろうか。

応援を始めてから10年間タイトルを獲れなかったフロンターレの歴史の到達点だった2017年の優勝の瞬間を越える爆発力はないのかもしれないけれど、毎年タイトルを積み重ねるようになった新しい歴史が紡ぐ強さの中で生まれるエモーショナルな瞬間を楽しみにしたいなと思いを馳せながら2020年のJリーグ優勝の夜は更けていく。

そして気づけばジャパンカップまであと3日。日本競馬史上最高のベストバウトが迫っているのだから、何とも贅沢な一週間なことで。