BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

フロンターレ勝手に補強診断(2019−2020)

昨年の振り返り

成績から振り返るとリーグ4位、ルヴァンカップ制覇、ACL天皇杯はあっさりと敗退。前年の補強診断を95点と判断していたほどの期待値から考えると、最低限を何とかクリアといった結果に終わった。内容を考えるとサイクルの終わり、全てが中途半端という言葉が浮かんでくるシーズンであったように思える。以下その辺を。

良かったこと

  • これまで何度も辛酸を嘗める他カップ戦でタイトルを獲得したこと。試合自体のレベルは微妙だったもののエンタメ性は満点以上。このような試合を見るためにフロンターレを応援していたんだと思わせてくれたことはサポーター冥利に尽きる。
  • 若手の出場機会がある程度確保されて、新戦力が台頭してきたこと。特に少し前までは憲剛抜きでは試合にならない・得点が取れないと言われていたトップ下とボランチに脇坂、田中碧が台頭してきたことはこれまたユースから追い掛けているサポーターの胸を熱くさせた。

悪かったこと

  • 巨大戦力の運用に失敗して、新戦力の融合が進まなかったこと。これはフロント・監督の経験不足に尽きる。きっかけは家長・大島・憲剛の怪我で勝ち点を失い続けたことではあろうが、過去2年の成功体験に縛られた形での結果優先となったことが、融合・成長を進められなかった最大の要因であろう。ただ前線とSBはダメだったが、ジェジエウと山村がフィットしたのは評価したい。一昔前までCBは全然いなかったからね……。
  • 上記に関わることであるが、2016年から続いたサイクルが終わりに近づいてきたのは想定されていたにもかかわらず、加速度的に進化するリーグの潮流に乗れずに、挑戦する新しい姿を見せられなかったのは今季に向けた大きな不安要素としてあげざるを得ない。

今年の移籍環境

  • 2016年からチームを支えたメンバーの高年齢化と稼働率の低下。加えて3年連続のタイトル獲得で、モチベーション的に達成感を持った選手が抜けることが想定された
  • 資金もコネもあるマリノスヴィッセルなどが、ポジショナルプレーに挙げられるような欧州型の最新戦術を導入し、魅力的なサッカーを展開。「リーグ随一の面白くて攻撃的なサッカー」という看板はさび付いてきていると思わせる状況
  • そうは言っても、一昔前に比べると新卒へのアピールは環境面、実績面含めて引き続きアドバンテージを持つ。更にユースの黄金世代が収穫期を迎えた。

退団・レンタル選手

  • タビナス ジェファーソン:昨季は十分な実績を積めたとは言い難い状況だったが、なんとガンバに期限付き。環境は整ったので大化けを期待。
  • 鈴木 雄斗:2列目としては技術不足、SBとしても決め手にかけて、フィジカル的な強さ以外のプラスαを出せなかった。松本なら経験生かせそう。
  • カイオ セザール:長崎では元気にやっていたが、如何せんボランチは田中碧の成長に加えて、原田も控えているので、難しい。
  • 奈良 竜樹:本当に感謝しかない。昨シーズンでいえば中盤を飛ばす縦パスに新境地を見せかけたところで怪我で離脱。その間にジェジエウと山村が完璧にフィットしてしまったのだから、巡り合わせが悪かったというか……。
  • 阿部 浩之:3年連続でタイトルを獲れた最大の貢献者なのは間違いなく。非常に痛い流出。一方で年末のファイフロでは「もうあまりうるさく言わなくても良いチームになった」的なことを発言していたので、本人の中では一区切りついてしまったのは想像できるだけに、仕方のない流出。これまでのあべちゃんが実現してきたことを、残ったメンバーでもやりきることが最大の恩返しだろうし、チームというのはそうでなくてはならない。まあ稼働率も低下しつつあるところだったし、幸せなタイミングでの別れとも言えるかもしれない。
  • マギーニョ:今年のフロント・監督の迷いをもろに受けてしまった印象で申し訳ないシーズンになってしまった。ルヴァンを最後勝ち切れたのはマギーニョの使い方をチームがやっと理解できてきた一つのきっかけにはなりそうだったのだが。とはいえ、ポジショニング面では苦労しており、なかなか改善も見受けられなかったので、横浜FCで一旗あげてくれれば嬉しい。日本で成功して欲しいよね。
  • ポープ ウィリアム:大分では高木の壁を破れず。高木凄かったからね……。
  • 馬渡 和彰:ハマりかけたところで離脱を繰り返して、フィットしないままで一年間が終わってしまった。今年の上積みはあったと思うが、本人が上昇志向強いし、我慢できなかったかなあ。
  • 赤﨑 秀平:名古屋で重宝されてたのに無念。流浪の民と化している。移籍コメント見るとFWらしいエゴが感じられるが、ここまではそれがあまり良い方向には向いてないのかなあ。
  • 知念 慶:2019年は勝負のシーズンだったのは端から見てても明らかで、前半戦のチャンスを体調不良をきっかけに掴みきれなかったのが本当に残念。使わない監督批判も見受けられたが、どちらかというと掴みかけたチャンスを逃してしまったシーズンというのが個人的な評価。大卒4年目となる今年は絶対にフル稼働しないと、キャリアが終わってしまうシーズンなので、レンタル移籍は当然の選択。2年くらいフル稼働して、自信を付けてから戻ってきて欲しい。
  • 新井 章太:このタイミングで……という驚きと悲しみはあるが、プロ生活を2ndキーパーで終わらせるわけにはいけないポテンシャルと実績を持つ選手なのだから、誰が責められようか。今年のルヴァンカップだけでなく、3年連続タイトルを獲り続けたチームを精神面から支えた一人だけに、あまりにも痛い流出だが、あべちゃん同様残った選手でやるしかない。

新加入選手

  • 山根 視来:去年エウソンが抜けたタイミングでも補強の候補で噂された選手。ドリブルと縦パスと得点力に定評があるだけに期待したい。湘南でできることが川崎でできるわけではないのが難しいけど。
  • 丹野 研太:実績のあるキーパーの獲得は必須だっただけに、ソンリョンを脅かす活躍に期待。
  • 神谷 凱士:左足がヤバイらしいという噂。名古屋方面の人達が惜しんでいたので、止める蹴るは良さそう。
  • イサカ ゼイン:右SB要員じゃないかなーとは思っていたが、DF登録であることを新体制発表会で明言された。1年目から試合に絡んで欲しい。
  • 旗手 怜央:言わずと知れたストライカー。不安は1トップが飽和気味なことだけ。
  • 三笘 薫:個で剥がせる選手が2列目には必要とされているだけに待望の入団。海外志向強そうだけど、2年間くらいプレーして欲しいな……。
  • 宮城 天:入団即レンタル。前は飽和してるので妥当でしょう。
  • 遠野 大弥:こちらも入団即レンタル。妥当。

2020年の目標

  • リーグタイトルの奪還。新体制発表会ではチャレンジ目標的に「複数タイトル」という言葉が上がっていたが、一方で「リーグを最優先」という発言もあり、現実的な目標はこちらであろう。
  • リーグの進化に追従できる新戦術の導入。新体制発表会では「継続」とは発言していたものの、「去年は色んなコトが中途半端にになって導入できなかった」という意味合いの言葉も出ていたことから、監督選手ともにコアメンバーは継続しつつも、その中では新しい戦術に取り組むということは必須要件となっていることだろう。
  • 世代交代。これはもう言わずもがな。戦術面のアップデートも含めて、もう2017年の最強布陣・戦術は組めないのである。

勝手に採点

上記の目標を仮置きした上で、今年の補強を3つのポイントで考えてみたい。

  • 1つ目は攻撃陣の適正化である。去年は1,2列目があまりに充実していたが故に、攻撃陣のコンビネーションが馴染まないまま終わってしまった。世の中の風潮としては「その場その場の発想やイマジネーションでサッカーをする時代は終わった。ポジショナルプレーを中心に再現性のある戦術の導入こそが肝要」という状況ではあるが、それをそのまま鵜呑みにするのはどうかなというところがある。まず1つはフロンターレは現在、個人戦術によって差異化されてきており、その長所は未だ失われていないと考えていること。もちろん去年「止める蹴るが甘くなっている」面は見受けられたのは事実ではあるが、個人的には迷いながらプレーしていることで「相手も仲間も見ることができなくなっていた」ことが最大の要因に思える。去年のメンバーを中心に、融合を深めることである程度解決される部分はあるのではないか。2つめは「ポジショナルプレーを軸とする戦術による再現性」が有用に働くのは「ペナへの侵入手段」と「ネガティブトラジションにおける即時奪回」における優位性であり、結局最後に点を獲るという部分においては、今後も個人戦術とグループ戦術がモノを言うのは変わらないのではないかと考えていること。点を獲りきるということにおいては、やはり攻撃陣の融合とコンビネーションの充実は必要な要素であろうと考える。今シーズンにおいては、阿部の移籍、憲剛の怪我は苦しいモノの、去年中途半端で終わってしまったダミアンを中心とした攻撃陣の活性化は、メンバーが削られているからこそ向上していくのではないかと考える。そういう意味で知念、阿部、宮城、遠野を移籍させて、チームを知っている大卒と、去年のメンバーでスカッドを組むというのは評価したい。
  • 2つ目は右サイドバック。これはもう去年どう見ても失敗。完全に失敗。結果として、総入れ替えとしたことは良くはないことだが、失敗したことを認めているという点で消極的にではあるが評価する。
  • 最後3つ目はコーチングスタッフの補強。これに関しては正直言って一番期待していたのだが、現時点では未知数と言わざるを得ない。鬼木監督続投自体は個人的には賛成。3年連続でタイトルを獲得した監督を斬るというのは10年20年先を考えていく上で良策とは思えないし、鬼木監督もまだまだ成長できると信じている。一方でそれを内部だけで組閣して求めるのは難しい。外部の血を定期的に入れて、違う観点でのチーム作りをしていくことで鬼木監督の成長を促していくべきだと考えていたのだが、今求められる最先端のリーグの潮流を取り入れられるスタッフで固められたかというと、実績的は判断できない。コーチングスタッフの入れ替えがあったこと自体は評価したいが、とにかく未知数過ぎるというのが正直な感想。

以上をまとめて、点を付けるとすると今年の補強は65点。少なくとも最低限やるべきことは手を打っているようには見える。選手の構成はポジション的にも年齢的に否定するものはない。ただし多分に前提が「去年やろうとしてたことが中途半端になっちゃったので、今年はそれをしっかりやればまだまだ上積みはあるよ」というところに寄っているので、特にコーチングスタッフについては、明確な次への変化が伝わってこずに一言で言えば未知数過ぎて不安である。もし大きな変化を望むのであればGKも替えるだろうし。まあ上振れする可能性は十分にある布陣にはなっていると思うので、まずはキャンプ、春先を通じて、どのようなサッカーをするのかを注目していきたいところではある。