BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

5回目の挑戦にして叶ったルヴァンカップ制覇

安堵感と疲労感。ジェットコースターのような試合展開の末に、新井がウイニングボールを掴んでピッチを駆け出したその瞬間。押し寄せてきた感情はリーグ初制覇とも、負けて決まったリーグ連覇ともまた違った複雑なカタルシスであった。

思えばフロンターレを応援し始めたトリガーは2007年のナビスコカップ決勝であった。あのとき「へー結構強いんだフロンターレ。面白いし、タイトル獲れそうじゃん?」から始まったのサポーター生活。ジュニーニョの決定機も寺田周平のヘディングもすぐにリベンジの機会があるものと軽く見ていた。まさかこのJリーグカップがとんでもない重力となって、自分を縛り付けることとなるとは夢にも思わなかったのである。

2009年。川崎有利の下馬評。直前の7-0に加えて、「悪いけれど石川抜きなら」などと浮き足だっていた自分を打ち砕いたのは、米本拓司のスーパーミドル。美しいまでの川島永嗣の飛翔も空しく突き刺さったゴールは抜けないトゲとなって、シルバーコレクターという有難くない称号と共に以後のタイトルのかかる試合にはつきまとうこととなった。




ちなみに福原遥さんは21歳になられたそうです。

2017年。天皇杯の悲劇からサイクルの終わりを迎え、我慢の年と考えていた鬼木監督1年目に手が掛かったルヴァンカップ。相手が鹿島じゃなければ、お互い初タイトルを争うならとイレこみ気味に足を運んだ埼玉スタジアム2002。ここで勝たなければ本当に憲剛にとってはラストチャンス。主軸も世代交代した今のチームなら違う結果が出るはずと祈って信じて迎えたキックオフから47秒。空振るエドゥ、歓喜に包まれるセレッソイレヴン。目の前にの悪夢のような光景は間違いなく現実で、そこから先の試合展開も全て既視感のある世界であった。




そして迎えた2019年。2年前の11月には想像していなかったリーグ連覇を成し遂げるも厳しいマークと研究、他チームの進化に押されて、煮え切らない成績で迎えたクラブとしては5回目。個人的には4回目の決勝。それでもタイトル経験とカップ戦準優勝の慣れというものは恐ろしいモノで、過去2回とは違って悲壮感はなかった。ただただ獲れればいいな。獲れなかったらまあ仕方ない。それでも普通に戦えれば何とかなるんじゃないか。まあ序盤で0-1までは想定内。とりあえず1点取りたいな。そんな気持ちで迎えたキックオフ。


10分失点(0-1)
45+3分同点(1-1)

88分勝ち越し(2-1)
90+3分同点(2-2)
99分失点(2-3)
記録なし
109分同点(3-3)
札幌6本目PK勝利

ここまで経験しないと優勝できなかったルヴァンカップ。それでもこの刻をもって、これまで何度もフラッシュバックした光景は全てチャラとなり、表彰式をボンヤリと眺めながら、フロンターレサポーターとして残されていた最後の宿題を終えたという安堵感に包まれているのを感じられた。これはもう「悲願のリーグ優勝」とも勝るとも劣らない静かだけれどとてつもない感情の波であった。兎にも角にもシルバーコレクターという称号を返上し、リーグタイトルもカップタイトルも獲ったフロンターレ。全てのトラウマを解消して、次の世代、次のサイクルのことを考えられると思うと、まさに「第一部完!」という感想。ステイゴールドで言うならドバイシーマクラシックがリーグ制覇で、香港ヴァーズルヴァンカップ。こんなに綺麗な第一部を経験できるクラブなんてそうはないわけで、ここからしばらくは何があっても仕方ないかなという悟りの境地に近い心境でクラブを応援することになりそうである。

最後に本日報道のあった鬼木監督の続投について。まあTwitterに書いたとおりなのだが、「今年の鬼木監督が物足りない。来季このままでは他チームに置いていかれて、下降線を下るのではないかという不安がある」というのは同意。しかし3年連続タイトルを獲得し、選手からの信頼も厚い監督を「将来が不安だから」だけの理由で継続しないというのは、将来に禍根を残す。「勝つことがファンサービスでありアイデンティティ」というクラブであれば、そのような判断もありえるかもしれないが、フロンターレは「楽しくて攻撃的で地域で愛されること」がアイデンティティであり、「強くあること」「タイトルを獲ること」は手段に過ぎない。もちろん監督としての評価はピッチ上の結果で判断されるべきで、レジェンドだから何でも許されるわけではない。しかし「ルヴァンカップ制覇」というフロンターレの物語を完結させた鬼木監督は今年もサポーターに十分な喜びを与えてくれた。今の時点で監督の去就にあーだこーだ言うのはあまりに稚拙な話であり、それに納得がいかないなら、そのような論理が通用するクラブを応援するべきであろう。今フロントに望むべきは鬼木監督を続投させるにあたって、十分に今年の過程・内容を分析し、彼をバックアップ、相談役となれるコーチングスタッフの補強と、監督では判断できない将来的な観点に立った編成の見直しであろうと考える。

それにしても獲れてホントに良かったですわ……。