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風間スタイルと鹿島の勝負強さと融合が生んだ悲願達成

川崎フロンターレがついに2017年のJ1リーグを制覇し、悲願であったタイトルを獲得しました。過去8度に渡る2位。例えるなら皐月賞2着4回、ダービー2着3回、菊花賞2着1回のG1未勝利オーナーが、ついにダービーを制したというところでしょうか。ここまで時間はかかりましたが、積み重ねた歴史が生んだ川崎フロンターレはとても素晴らしいチームです。その強さを競馬クラスタ向けに解説しましょう。

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川崎フロンターレは元々非常に攻撃的なサッカーを代々引き継いでいます。一度目のピークは関塚隆監督時代の川崎フロンターレ2004(2004〜2009)。川崎山脈と呼ばれた3バックが支える守備と、縦に速いサッカーで5度の2位を記録します。いつも最後は素晴らしい末脚を見せるも届かずに2着。いつでもタイトルは取れるように思えましたが、結局最後のピースを埋めることは出来ずに、1つのサイクルは終わりを告げます。

2010〜2011年の高畠・相馬両監督時代は世代交代もあり、自慢の末脚も影を潜める停滞が訪れてしまいます。そこでフロントが招聘したのが風間八宏です。J指導未経験の風間八宏の元でフロンターレは大きく舵を切ります。これまでの縦に速いサッカーから、徹底的にボールを握って攻め倒すスタイルへ。それは脚を溜める競馬から、圧倒的なスピードで先行し、他馬を寄せ付けない逃げ馬への脚質変更とも言えるものでした。川崎フロンターレ2011が見せた高度な個人戦術をベースにした攻撃力はドイツに名前の由来を持つDanzig直仔の圧倒的なスピードを思わせるもの。しかし集大成の2016年もリーグ3位、天皇杯2位というあと一歩足りずという結果に。距離の壁ならず、守備の壁に泣いた形と言えるでしょう。その弱点を補うために就任されたのが鬼木達です。

J1昇格後も残り続けた川崎フロンターレの弱点、それは日々の練習から細部に拘ったチーム作りをすることで生み出される勝負強さでした。その点において、フロンターレに好相性の関塚隆の強いクロス(2+3*4)を通じて、我が国で最も大舞台に強い鹿島アントラーズが持つブラジル仕込みの勝負強さを蘇らせた配合意図は、川崎フロンターレ2017を語る上でのポイントと言えます。

風間八宏から受け継ぐ圧倒的な攻撃力(スピード)に、鹿島の血に裏打ちされた勝負強さ(スタミナ)、そして鬼木達自身の持つモチベーションコントロール(気性)。3要素が高度にまとまった今年のフロンターレACLの不安定な試合運びは風間八宏の、ルヴァンカップ2位では関塚隆の影響力の強さが出てしまった結果とも言えますが、最後に見せた耐える守備と、大人な試合運び、そして圧倒的な攻撃力。勝たなければ終わりの3試合全てをクリーンシートで終えた結果は、まさに前年跳ね返された守備の壁を乗り越えた姿でした。1度は離された鹿島アントラーズに食いついて食いついて最後に得失点(ハナ)差で差しきった大逆転劇も、まさに配合の歴史が生んだ必然の血のドラマと言えましょう。

以上のように、悲願を達成した川崎フロンターレ2017は近代日本サッカーの結晶とも言えるチームであり、今後も素晴らしいパフォーマンスが期待されます。もし将来に向けての不安材料があるとすれば、代を経て、風間八宏の影響力が落ちてくることでしょう。その時には、風間スタイルを受け継ぐ今の選手・スタッフが監督就任することによる風間八宏のクロスによって、再度攻撃的なサッカーを強化する必要性が出てくると思われます。筆頭は当然中村憲剛となりますが、ドイツサッカーとサンフレッチェ広島のクロスという隠し味を同時に発生させられる田坂祐介の監督就任というのも面白いのではないでしょうか。また2017シーズンから風間八宏が監督に就任している名古屋グランパスのスタッフを導入することで、相似な血のクロスを発生させるというのも、効果は大きいかもしれません。

21年の歴史を経て、ついに頂点に経った川崎フロンターレ。結果が出るまでには時間がかかりましたが、この美しい配合を見るだけでも、競馬クラスタには、その素晴らしさが伝わるのではないでしょうか。最後にもう一度この強い個性をまとめあげた鬼木達監督と選手、スタッフに最大級の賛辞を送り、このエントリを終わりたいと思います。