BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

君の名は。を見たよ

10年前の僕は、いつか細田守がこんなキラキラした青春SFアニメを作ってくれると信じていたんだ。

君の名は。見てきた。シン・ゴジラ鑑賞時に予告を見たときは「まーたMADムービーみたいなセカイ系映画作ったのか、懲りてないなあ」とか思ったのだが、間違っていたのは自分でした、ゴメンナサイ。以前から新海誠の作品自体は嫌いではなかったが、いつも発想にストーリー作りの技術がついてこられない、イメージビデオとしては面白いし、綺麗だけど映画としては成立していないよね、というある種の諦めにも似た印象をもっていた。しかし君の名は。は全然違った。王道のジュブナイル、青春SF。映画の最初から最後までしっかり計算された脚本、映像と情報のスピード感。ある意味王道がゆえに、今まであったオタクめいた捻りというのがなくなったことに物足りなさを感じる向きはあるかもしれない。だが、あの新海誠が自分の表現したいことに溺れずに、一方的な手紙ではなく、観客と向き合ってコントロールされた作品を作ると、こんなに傑作が生まれるのかという衝撃。「秒速5センチメートル」が気に入らなかった、細田版「時をかける少女」に心を鷲づかみにされて、その後の細田守に失望し続けた、そんな人向けの作品。以下ネタバレありの適当感想。







  • 全体的なテンポがとても良い。確かに今回も主題歌をこれでもかつ突っ込んでくる新海節は健在ではあるが、今回はキチンと外角低めにコントロールされているといった感じ。最近の映画では珍しく(?)はっきりとしたOPがあるのも、効果的だった。
  • 作画は期待通りに違わぬ出来。都会と田舎の風景ともに引き込まれる。同時に都会をくすませるのでもなく、田舎を礼賛するのでもなく、ただ目の前の風景をキラキラと描いたという点でサマーウォーズより2ランクくらい上といってもよい。
  • シン・ゴジラにも共通するが破壊の美しさ自体を否定しないというのは、今だからこそ描けたのかなとは。
  • 東浩紀氏はオタクの時代は終わったと書いていたが、よくわからない。もちろん初見の10代でも楽しめるだろうが、作品自体にはこれまでのアニメ作品の要素はふんだんに取り込まれているし。確かに最後に大人の手を借りることで、運命を変えていこうとするあたり、いわゆるセカイ系の中間すっとばし世界救済とは異なるものの、あくまで描かれているのはボーイミーツガールから広がるSFなのだから、終わったのはオタクじゃなくて、セカイ系であるし、もうそれは3.11以降の日本の進歩だと捉えるべきなのでは。
  • 鑑賞後、我に返ってみると、なんで3年の時差を入れ替わってる最中に気づかないんだよ!とか細かい設定に気になるところはあるのだけれど、まあ夢の中で入れ替わってるなら、気づかなくてもしょうがないよな。というかiPhoneSEがだと思ったのだから仕方ない。
  • そうだよなー。東京は新宿であり、代々木だよな−、わかるー。
  • 坂道を駆け下りる少女はいつの時代も美しい。
  • エンディングで再会するか、すれ違うか。確かにすれ違った方が、いつもの新海誠なんだろうけど、二人は会わせてやりたいと思ったし、物語の基本はハッピーエンド(by和月伸宏)なので、一度はそういう作品、真正面から作るべきだと思った。
  • 一晩経って舞い降りた感想。