BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

6年前とは反転した想いで見届けた7頭目の三冠馬の誕生

ディープインパクトの三冠達成から6年。思いのほか早かったが、淀で競馬人生二度目の三冠馬誕生を見届けてきた。レース前は三冠達成の可能性は70%くらい。同世代と勝負づけは基本的に済んでいるものの、気性の危うさから自滅の可能性もあるのではないかという見立てでいたが、ディープのとき以上に圧倒的な勝利を見届ける結果となった。

淀についたのは昼前。既に到着していた久々に競馬場に「熱気」というものを感じつつ、6年前に友達と二人で始発でたどり着き歓声と拍手に包まれる第1レースを見たときとはいろいろ変わったなと感慨にふける。スタンドにまぜこませてもらって、待つこと15時40分。手にはトーセンラーからの三連複、三連単を握りしめてのゲートイン。その直前までオルフェーヴルに三冠がかかるということに現実感を持たずにいたが、ゲートが開いた瞬間、確かにそこには三冠への挑戦が始まっていた。今回の挑戦、血統的にも戦績的にもオルフェーヴルを単純に出し抜けるほどに現時点で菊花賞適性を感じさせる馬はいないと考えていただけに、とにかく1周目の坂の下り、そしてスタンド前をいかにいつも通りの走りを彼ができるのかに注目する。若干力んで噛んだ走りで一周目の直線を迎えるオルフェーヴル。脳裏には6年前口を割ったディープインパクトの姿がフラッシュバックする。しかしスっと馬群に入った瞬間、いつもの走りをとり戻す。もう、大丈夫か・・・いや前から出し抜こうとする馬はいないのか?仕掛け遅れはないのか?そんな思いで向こう正面から坂の上りを凝視すると上がっていくのはオルフェーヴルだった。昨今の菊花賞の勝ちパターン。「ゆっくり上ってさっさと下って四角先頭」をきっちりを踏襲した見事な走り。初めて見た三冠馬よりも、安定した、有無をいわさない完璧な走りを魅せてくれた。時計もいうことない文句なしの三冠馬の誕生であった。

思えばディープインパクト皐月賞時点で「三冠馬にならないはずがない」という周りの空気を背負ってのクラシックだっただけに、どこか「作られた」「周りのからの遠慮を感じる」三冠馬という印象は拭えなかった。もちろんディープ自身は天皇賞春でその冠に相応しいということを完璧にアピールする訳ではあるが、菊花賞時点では僕の中にこれは本当に全てを越えた三冠・・・?みたいな感覚があったことは否定できない。その点今回はそのような思いを感じなかったことは単純にうれしかった。また何度も既に言及されていることではあろうが、ディープ以上にオルフェーヴルが「近代日本競馬の結晶」というべきサラブレッドであることは価値があるように思える。血統的にも、陣営の育成にしても、まさに日本競馬が紡いできたものを感じさせてくれた勝利であった。ある意味レース前とレース後の感覚は6年前とは反転した形となったわけだが、そういう意味でも現地でみたことはやっぱり良かったなと思わせる三冠馬の誕生であった。

最後に今回他に思ったことをメモ程度に書き連ねると、

  • 世間的には仕掛けがないとなかなか盛り上がりには欠けるとはいえ三冠自体はコンテンツ力持ってるんだなー。特に関係者にとってはやっぱり大きいものなのね。
  • 今後は凱旋門賞を目指すとは言われているけど、クラブ馬だけにローテーションは難しそう。いい加減天皇賞春はともかく宝塚記念は使わないで現地で叩いたレースが見てみたいんだけど。
  • 池添は何が巧いというより、やはり自分の中で決めたことをキッチリ(鞍下のパートナー含めて)やりきる力がすげーんだなと。だけど凱旋門賞行きたいなら来年は日本で乗るな

とかそんなあたり。まずはJCか有馬で古馬との戦いをしっかり見せてほしいね。