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BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

【第55回有馬記念】2010年を締めるに相応しい強い3歳と女王の見事な競演

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今年の有馬記念ブエナビスタ対3歳牡馬勢という図式であったことは間違いないだろう。そして「3つ獲る」と宣言した秋を迎えたブエナビスタが、変則的にとはいえローズキングダムにJCで土をつけられて、このグランプリに挑むということはさらにこの有馬記念を興味深い一戦とした。天皇賞ではスミヨンのエスコートでみせなかったものの、ギアチェンジに時間がかかることという弱点をブエナビスタがどうクリアするのか。ロングスパートにとにかく強みを見せるローズキングダム有馬記念で上手く立ち回れるのか。皐月賞やフランス、JCでも見せた一瞬の脚をヴィクトワールピサがどう生かすのか。ペルーサは出遅れるのか。出遅れなかったら同じ脚は使えるのか。エイシンフラッシュは叩いた上積みであの最高速の持続性をどこで発揮するのか。それぞれが微妙にホームランゾーンがズレる中で、枠順が決まった瞬間、競馬の神様はG1にずっと縁の無かったやしきたかじん似のオトコにチラリと微笑んだのかもしれない。

14時過ぎに中山に到着。すっかり最近のパターンとなった競馬クラスタへの挨拶をフラフラと行おうとすると、スタンドは既にギッシリと埋まっていた。週中も普段競馬に興味のなさそうな同僚が話題に出すなど、どっぷり沼まで浸かった競馬ファンにはもうわからないが、やはり不況でも有馬記念有馬記念らしい。船橋法典駅に降り立ったギャルが「まるでお祭りみたい」と呟くのも納得である。結局ゴール前300mくらいで合流したクラスタ勢と一緒に観戦することに。目の前の風景は変わらないようで変わっている。5年前だったら3人以上で競馬場で競馬を見るなんて想像だにしていなかったのだが。恐るべきtwitter

15時25分。ゲートが開くとまずペルーサが出遅れない。ペルーサの馬房前で毎日夢枕に立って「出遅れるなー出遅れるなー」と言った調教師は誰?答え・藤澤和雄!逃げ馬不在、スロー必至と言われていた中でハナを切ったのはトーセンジョーダン@三浦コーセイ。2番手がオウケンブルースリでジャンポケ産駒が引っ張る形。ピサは好枠から綺麗に好位へ。ペルーサも4番手。ブエナビスタは中段後方。各位思い思いのポジションを獲ったのかなという印象。ゆったりとした流れでスタンド前を通過。レースが動いたのは向こう正面。G1の逃げ方を知らないコーセイが落しすぎたラップは残り1600m〜1200m区間を13.4-13.5。恐らく残り1400mくらいからハーツクライ有馬記念の勝ち方を知っているルーラーシップルメールがサっと動き出したところに、ついていったのがヴィクトワールピサデムーロ。一気にハナに立つ構えもコーセイも引けずに雁行の形。このまま行ったら厳しかったが、残り4ハロン、3コーナーでちょっと息が入る。ブエナビスタもコーナー手前から仕掛けに入るが、抜群の手応えでコーナーをクルっと回ったヴィクトワールピサが直線仕掛けると持ち前の瞬発力で後続を一瞬引き離す。直線坂を上がったところで皐月賞同様脚が上がりかけたところを、ブエナビスタが大外強襲するも最後はハナ差2センチ残して、ヴィクトワールピサが押し切りシンボリクリスエス以来の3歳有馬記念制覇を成し遂げた。

思えばPOGドラフトで人気的にはそれほどでもなかったヴィクトワールピサを一本釣りして指名したのが1年半前。その後デビューから文句なしの快進撃で皐月賞を制覇。ここまでデビュー前から思い入れのあるG1馬もそうそういないもの。フランスまで行って、JCでそこそこ好走して、1枠1番で迎えた有馬記念。この馬のキャラについては、とにかく理解できてる感覚があるだけに、こんなホームランコースにボールが飛んでくるチャンスがあるなんてという気分で迎えたレース前。とにかくこの馬の力を出し切ればギリギリ5分にはと思ってはいたが、俺がG1ジョッキーでもこう乗るという騎乗でデムーロ有馬記念に導いてくれてフェンス際にホームラン。本当に感無量だった。ふと気づけば自分の目の前で勝ってくれたのは初めてだったし。あまり知り合いがリアルに多いところで、目の前の勝ち馬に入れ込むことは珍しいのだが、普通に興奮してしまった。

レースラップは6.9-11.4-12.0-12.3-12.7-13.4-13.5-12.3-11.5-12.0-11.7-11.1-11.8。残り1200m超から加速して3コーナーで息が入ったモノの、ラストも11.8で納めているのだから、途中が緩んだとはいえ有馬記念らしい好ラップ。見た目も中身もG1らしい良い有馬記念だったといえよう。ヴィクトワールピサの勝因はといえば「ある程度速いペースを先行しても、最後にキチンと一瞬だけなら超一流の脚が使える。そのあとは並の一流馬」といったところをデムーロが120%出し切ったこと。デビュー戦でローキンを捕まえられなかったところにしろ、皐月賞の抜けだしにしろ、ニエル賞での手応え詐欺にしろ、ダービー・JCの3着にしろ全てが指し示していた。恐らく12秒台前半の流れへの耐性は高いが、無酸素運動100%で走れる時間が短いと言うことなのだろう。残り1200mからピッタリとローキンあたりについてこられたら厳しいところだったが、相手がトーセンジョーダンだったのが幸いした形。全てを出し切ったパフォーマンスだった。逆に言えば、ピサ好きとしてはローキンとこういう競馬で勝負したかったなとも。

2着のブエナビスタも強い競馬はしている。ただどうしてもコーナーで上手く加速はできないし、何よりちょっとスミヨンがこの1ヶ月の競馬を通して日和って安全運転してしまったのかなという印象も。結果的には鮮やかすぎた秋初戦がブエナビスタのリズムを狂わせてしまったという皮肉な結果ともなった。これがノリだったら、普通に3つ勝ってたような気もするのだが。とはいえ、秋3戦のパフォーマンスは歴代屈指。というか、戦績だけみればダスカ級、ウオッカ超えといっても過言ではないくらい。そしてこの馬の幸せはキチンと強い牡馬が来年も勝負を挑んでくれるということ。来年のパフォーマンスに夢が広がるばかり。

3着トゥザグローリー。実はPOGドラフト指名馬でした。馬券獲れよ、夢がないなあ。この馬も良化してくれば3歳トップレベルとは思っていたが、ここで走りきるとは恐るべし池江パパのマネジメント。来年の転厩先が早くも気になるが中距離路線では文句なく一流張れる。ペルーサは出が良かったことで、逆にG1の厳しい流れを初体験してしまったがゆえの弱々しい4着。コーセイもそうだが、G1を何たるかを胸に刻んで出直しておいでといった感じ。エイシンフラッシュは一応格好はつけられたのか微妙な感じだが、秋はリズムが悪かったのも響いたか。来年に期待。とにかく3歳牡馬多士済々である。

とにかく2010年秋は審議が多かったりとケチのつくG1が多かったが、最後に見た目も中身もギッシリ詰まった、そして来年の競馬への期待が広がる近年屈指の有馬記念だったといえよう。出走できなかったローキン含めて個性派かつ強豪という層の厚い3歳馬たち、そしてブエナビスタが見据える2011年の競馬の風景はかなり楽しみで、1年後の半径3mからゴール前までに思いを馳せつつ、久々に満足度の高い競馬に心地よい年末を迎えられそうである。POG不調だけど。

おまけ

  • 殿下が言ってたような来年の上がり目って意味では、ブエナビスタについては下からの突き上げに恵まれているという意味では来年楽しみだけど、今年走りすぎてるところで来年メンタル的に競馬に飽きちゃう可能性みたいのも感じて、そのへんどうやって上手く海外遠征&お休み的なものを組み込むかってのは難しい。
  • 3歳について言えば、ある程度完成系のピサは来年使えるレースないよな的なところはある。宝塚はガチンコのロングスパート過ぎてみたいなところもあるし。まあ馬変わるくらいに海外いけば違うかも知れないけど。そういう意味では来年ロンシャンが一番楽しみっぽいのは古馬としての体力つけたエイシンフラッシュなのかなとも。ローキンは良く言われてるとおり3歳秋ピークの牝系だしねえ。
  • あとはまあペルーサが普通に鍛えられればゼンノロブロイ級というのは普通にありえそう。