BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

調教師定年反対署名に突っ込んでおく

立ち会い明けの朝にTLを見てたら、調教師定年反対署名をしている人がいるらしい。その署名ページを見てみたら、あまりのトンデモぶりにビビった。さらにはそれを律儀に花岡貴子女史がRTしまくっている姿を見て、「こ、これは第二の安西美穂子を生んではいけない!」という衝動に駆られたので、明確に突っ込みを入れておこうと思う。

問題のページは池江調教師が育てたディープインパクトの子供が走るダービーを見たい!JRAに調教師定年見直しを提案である。タイトルからして目眩がしてくるが、内容を見てみると定年反対の理由はどうやら次の2点のようだ。

1.JRAの売上も伸び悩み、馬主数も減っている中で「定年」という制度によって優秀な調教師を引退させるのはJRAの多大なる損失にも繋がる

2.池江調教師が育てあげたディープインパクトの子供が日本ダービーに出走する姿を見たい

これは違う。明らかに違う。ルールを変えろと言うからには、それ相応のロジックが必要である。1つずつ指摘しよう。まず1.に関して言えば、JRAの売り上げ減と、調教師の定年による引退の関連性が見いだせない。若いスーパーな調教師が増えた方が競馬人気が上がるかも知れない。全く無意味な理由である。2.はさらに酷い。1頭のスターホースにおんぶにだっこで競馬界を活性化させようとするのは明らかに下の下の策である。やるべきことは、継続的にスターが生まれる土壌を作ることと、スターがいなくても魅力が伝えられるような策であろう。あまりにも表層的すぎるルール変更は、自殺行為であり、このような理由ではとてもじゃないが、定年制の反対など言えるわけがない。

ただ確かに能力が問題がない&馬房も余っているにも関わらず、年齢を理由に引退をさせるということに対して、疑念があるということ自体は不思議ではない。しかしルールを変えるとならば、何故そのルールが出来たかどうかを考えるべきだろう。そうでなければデメリットが復活するだけになるかもしれない。手早いところでwikipediaを引用してみる。

中央競馬では総馬房数が限られているにもかかわらず高齢の調教師が引退しないために世代交代がうまく進まず、調教師試験の合格率が5%前後にまで落ち込むなど旧来の制度の弊害が顕著に表れた。そのため、日本調教師会の提案により1989年2 月28日から調教師の70歳定年制が導入された。ただし当時は70歳を超える調教師が多数であったため1999年までは経過期間とされ、要件どおりの制度運用が開始されたのは2000年以降である。この制度により、稲葉幸夫、二本柳俊夫、大久保房松といった数多くのベテラン調教師が勇退した。

つまり調教師定年制は馬房数が限られた中で調教師の世代交代を行い、競馬界の活性化をはかろうとして出来たモノである。ここで現在は馬房が余っているのだから、もういいじゃないかという意見があるかも知れない。しかしそれでは過去のデメリットを繰り返すばかりである。端的に言えばこの問題は、馬房不足の問題、さらに言えば中央競馬における内厩制の問題であると言える。内厩制であるがゆえに適正な競争が働かず、定年などというルールで強制的な世代交代が必要となったわけである。その点を無視して、浅はかな感情論を根拠にルール変更の署名を求めるのは、あまりにも愚策であり、仮にも競馬でメシを食ってる人間が平気で言っていいことではない。

以上を理由に、この署名には疑念を抱かざるを得ない。またいわゆる競馬周辺人における安易な活動で競馬に魅力が損なわれるようなことは安西美穂子ハルウララでもうウンザリなので、花岡貴子女史のRT拡散行動にも非常に疑問を感じざるを得ないのである。