BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

誰も守ってくれないをみたよ

試写会に誘われてみてきた。加害者家族というテーマ設定はよかった。キャストも悪くなかった。ただ最終的には所詮テレビ局映画か・・・的なクオリティの低さに落ちてしまったのが残念な作品。もっとこだわって作ってくれれば、社会派映画として良い作品になったのかもしれないのだが。自分の得意分野については、ちゃんと描こうとしてるのだけど、ちょっとわからないところになると取材しないで脳内で描くから、急にリアリティをなくして見るに堪えない仕上がりに。せっかくの秀逸なテーマ設定も、映画全体にただよう掘り下げの甘さから軽い仕上がりになってしまっている。社会派映画頑張って作ってみたけど、監督はじめ力量が足りませんでした、次はもっとがんばりましょうといったところ。ていうか、掘り下げの甘さから漂う描写の無責任さは、そのままマスコミの無責任さへの自己批判になってると思えば皮肉な作品ではある。よほど興味がある人以外は見る必要はなし。ただ松田龍平はよかった。最後に「日本版『レオン』をイメージしているとの事」(@wikipedia)って・・・。あやまれ!レオンにあやまれ!

以下、ネタバレ含めた感想。









まとめ

  • テーマ設定はよかった
  • キャストも外れなし
  • 特に松田龍平よい
  • 前半(つかみ)はよかった
  • ただ全体的に掘り下げが甘く、テーマ設定もキャストも台無し。
  • 前半15分以降に無駄な描写&伏線が多い
  • 登場人物も作り込みが甘く、途中で性格が豹変する
  • 加害者家族の風評被害を描くはずなのにマスコミによるバッシング描写が少なすぎ
  • 母親無駄死
  • ネット描写が古い。取材していないのがみえみえ
  • オタク描写がステレオタイプ。あと無駄に行動力ありすぎ
  • というか、後半はただのネット叩きに落ちた
  • エンディングはまとまったようで、全くまとまってない
  • 映画バカにすんな、ネットバカにすんな、人間バカにすんな
  • もっとまともな監督で、テレビ局への配慮を最小限にして作れれば良い作品になったのに・・・。

つれづれ

前半の出だしはよかった。「普通」だった家族が、長男の逮捕という嵐に巻き込まれて、急激に崩壊していくところはよくできていて、引き込まれる作りになっていた。だが、徐々に軽さが目立ってくる。まず加害者妹を保護する場面でのカーチェイス。あれだけ長々と尺使ってカーチェイスして、保護先が5分でばれるとか意味なさすぎだろ。全般的にこのあとも「この絵はどういう意味があって、どういう意図で撮ったの?」と疑問を抱く場面、伏線投げっぱなしで回収せずということが多数出てくる。もっともっと脚本を練るべきだったのではないだろうか?

このあとのマスコミが嗅ぎつけて追ってくるシーンは悪くない。また警察の動き方もそれなりにサマになっているのは好印象。加害者家族がメディアスクラムで潰されていくのは大事な描写である。だが、これもまた加害者母の自殺で台無し。あの描写じゃ、ただ子供が殺人を犯したことに絶望して勝手に死んだことになってしまう。自殺させるなら、もっともっと周りの目や、マスコミに追い詰められる描写を含めた上でじゃないと、タダの無駄死にである。二階級特進するわけでもないのに。

そしてネットによる個人情報ばらし描写が増えることで、映画の雲行きは加速度的に怪しさを増していく。まとめサイトの描写が出てくるわけだが、 htmlのフレームで黒背景なわけですよ。10年古いわ。wikだろ常考。また加害者家族をうpするため、突撃していく住人が出てくるのだが、それが10 人以上ってどんだけ団結力高いんだよ。あと当たり前のようにバンダナさせるのはやめてください。ステレオタイプすぎる。しかも物語の中盤以降はマスコミによりバッシングの描写は0。普通に考えてワイドショーの傍若無人ぶりや、マスコミ各社のバッシング描かないと、この映画意味ないだろと思うのだが、テレビ局映画なので無理なのだろう。結局簡単に敵にできるネットを中心に加害者家族へのバッシングは描かれていく。

極めつけは妹彼氏による、被害者妹のライブ動画うpシーン。いかにもニコニコっぽい動画サイトにうpされるわけだが、ライブ映像にコメントつけるサイトとかハードル高いな。そしてホテルにライブカメラ用意してノートPCセットしたまま、逃げるなんて証拠残しすぎだろ。しかもPC発見されてLAN ケーブル抜かれた後に、画面が更新されるし。最高なのが、ライブ動画が止まったことに怒ったまとめサイト住人ががホテルに突撃→佐藤浩市を殴る蹴るで逃走という抱腹絶倒シーン。笑いがこみ上げてきたよ、ホント。ネットによる加害者バッシングは、バッシングする側のリスクの低さ、障壁の少なさ、手軽さが生み出すというのが背景にあるはずなのに、刑事に暴行とかアグレッシブすぎるwww傷害罪で逮捕されるリスク高いのにそんなことしないよwwご丁寧に萌え系美少女のシールはPCに貼ってあるし、本気でテーマについて取り組んでいないのが伝わってくる残念な描写だ。

結局伏線も回収しないまま、なんとなくうやむやにエンディング。マジで完成度低すぎだろ・・・。他にも登場人物の掘り下げが甘いせいで、性格が様々に急変するとか、過剰演技が目も当てられないぎばちゃんとかも気になった。あ、松田龍平はよかった。ばかっぽいけど、イイ奴みたいな演技させるとピカイチですなー。キャストは全体的に頑張ってたと思うよ、うん。

というわけで結論としては見なくてイイ。以上。