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BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

【第138回天皇賞(秋)回顧】「魅力以上の強さ」への可能性を残したウオッカの勝利

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レース結果

第138回 天皇賞(秋)

レース映像

レース回顧

その2センチの差で、ウオッカは「魅力以上の強さ」への可能性を残し、ダイワスカーレットは「強さ以上の魅力」へのチャレンジに失敗した。

ダイワスカーレットの作り出したラップは12.6-11.1-11.5-11.9-11.6-11.6-11.7-11.3-11.3-12.6(58.7-58.5)。これは名勝負を生むに相応しい素晴らしい逃げであった。このラップからはダスカ@アンカツの「ウオッカの能力を全て受け止めた上で力でねじ伏せる決意」のようなモノが感じられるといっていい。唯一の誤算は前半5ハロン目の11.6。ここでラップを落とす余裕がなかった。これまでラップを思いのままに操って勝ちきってきたダスカには大舞台で初めてといっていい誤算。しかしこれによりダスカを自らのキャラクターの壁を越えるチャンスがはじめて生まれる。一方ウオッカにしてみれば、ダスカの刻むレースは自分の能力をあますことなく引き出すペース。馬群もばらけ、この馬のストロングポイントであるハイペースでの一瞬の末脚を活かすには最高の展開。これまでダスカとの直接対決においては常に思うがままのレースを相手にされていただけに、このような「自らの土俵でのガチンコ勝負」に負けてしまったときには、対ダスカにおいてはアイドル馬としての対比でしか語られなくなってしまう。2008年秋の天皇賞は両名牝の存在意義を賭けた展開となって直線を迎えた。

最後の直線。坂をあがって、ダスカの脚が一瞬止まる。休み明けでのG1、ペースを操れずに負けたとしてもダスカには言い訳がつく展開ではあった。一方この展開で負けたら言い訳のつかないウオッカは猛然とその一瞬の脚を武器に追い込む。しかしここからダスカは譲らない。ラップに誤算があってもなお1完歩1完歩粘りこみ、彼女のキャリアの中で最高のレースに、「強さ以上の魅力」に見るものを惹き込んでいくダイワスカーレット。ストロングポイントである一瞬の脚を使い切り、それでもなお自分の「魅力以上の強さ」へのチャレンジを守るために食い下がるウオッカ。そう最後の数十メートル両者の脚は完全に止まっていた。それでも負けられない2頭の戦い。スタートしてから1分57秒2後、2008年秋の天皇賞は終わりを迎え、15分弱の長い写真判定の後、勝利の女神は2センチ差で魅力溢れるダービー馬の、その実力に微笑んだ。

勝ったウオッカはライバルの作り出した最高の展開の中での能力を出し切っての勝利。この展開で勝てなければ、完全に勝負付けは済んでしまったと言われてもおかしくないレースだっただけに、2センチ差とはいえ勝ちきったことは、ウオッカの、陣営の大きな自信となるだろう。ただしこの展開でもなおライバル馬に2センチの差しかつけられなかったことは、この馬のスイートスポットの狭さ、末脚の難しさを指し示しているといえる。次走はジャパンカップ。とにかく反動が心配になる激しいレースであっただけに、この馬の難しさも含めて馬券的には買いづらいレースにはなりそうだ。

一方のダイワスカーレット。一言で言えば負けてなお強し。今までのようにペースを完全に支配した自分の世界での競馬とは違って、相手の舞台にのっての競馬。それがこの馬の底知れない潜在能力を魅せつけた結果となったといえる。今回はその「強さ以上の魅力」を勝ち馬として残すことには失敗してしまったが、もう一度くらいチャンスはあるだろう。今回の走りを見ていると、その舞台にドバイを浮かべてしまうのは妄想しすぎているだろうか。とにかくこちらも休み明けでの反動が気になるので無事に行って欲しい。

完全に名牝2頭に霞んでしまったが、3着ディープスカイの走りも見事なものであった。決して弱い3歳世代での二冠馬ではないことは確かだ。下手に王道の競馬をするのではなく、インぴったりを突けば、もう少し着差は縮まったかもしれないが、今回の競馬は良い経験となっただろう。叩いて強くなっていくタイプ。ジャパンカップではこの経験を活かし、また違う一面を見せてくれるのではないだろうか。管理人期待のグラスワンダー産駒は仲良く6着、7着。2頭とも従来レコードを更新した1分57秒5で走っているのだから、現時点での力は出し切っている。なかなか王道G1を勝ちきるにはいろいろな手助けが必要だろうが、とにかくこれからも重賞戦線を賑わせて欲しい。

レース後のコメント

◇1着ウオッカ

武豊騎手 ゴールの瞬間は自分でも分からなかったんですが、帰ってきてホワイトボードを見ると劣勢の表示。判定の結果が出るまで生きた心地がしなかったですね。外枠だったので前半は落ち着かせるのが難しかったけど、向正面では折り合ってくれました。ペースが速かったのも良かったですね。4角では手応え十分だったし、直線は他の馬を気にせず、ノビノビ走らせることだけを考えました。この素晴らしいレースを勝てて関係者と馬とファンの皆さんに感謝したいです。

→表彰式、自分のサイトでのでのテンションの高さからも伺える安堵と喜びのコメント。今回はウイニングランしてなかったが、それくらい余裕がなかったんだろうなあ。

◇2着ダイワスカーレット

※安藤勝騎手 今日は久々のせいかいつもよりテンションが高かった。そのせいでハミを取って少し力んで走っていた。だからゴール前の100mでは3着かなと思ったくらい。他の2頭も一杯になったんだろうけど、あそこからよく頑張ってくれた。改めて能力を感じさせてくれたね。これを使えば落ち着くはずだから巻き返しを期待したい。

→今回はとにかく休み明けが響いたのは関係者もわかっていた様子。それでもあれだけ粘るのだから鞍上も驚きだったのだろう。

◇3着ディープスカイ

※四位騎手 枠順は結果的に良かったと思います。馬場状態も考えて今日はスタートを出して行ったけど、少し力んで走っていましたね。4角を回った時も手応えは良かったし、追い出してからオッと思ったけど、もうちょっとでしたね。ダービー馬として恥ずかしくないレースはできたし、今後につながる競馬はできました。

→こちらもちょっと力んでいた様子。やはり叩き3戦目くらいで一番仕上がる馬なのか。