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今年のオークスが浮かび上がらせた裁決における「2つの身内」の問題

オークスの回顧となると、やはりまずは審議の件について触れなければならない。すでにいくつかネットでも反応が拾えるわけだが、ここはやはり柏木集保のコメントを引用したい。

ひとつは「G1級の多頭数のレースだから少々のラフプレーは見逃してあげるべきだという情状酌量を許されてしかるべき」という見方がひとつ、もうひとつは「権威あるクラシックレースだからこそルールは守るべきだ」という見方があげられます。明らかに普通のレースならば降着です。

<U局競馬中継より>

 改めて強く思ったのは、もう以前から指摘されていることだが、主催者であるJRAの職員による「審判・裁決」は完全に限界に達したというこの一点。これも今回の担当審判・裁決委員に対する不満やあいまいに対してではなく、制度に対してである。

 現在の審判・裁決のかかえる大きな不条理は、今回の斜行で改めてあまりに大きく明確になった。多頭数の激しいレースで、ときに斜行や他馬に対する妨害(故意ではないもの)が生じるのはやむをえない。レースである。そのときに審判は、公正であり、すべての競馬に関わる人びとに公平でなくてはならない。もちろんすべてのファンに対して。

 しかし、審判がJRAの職員では、いかなる人物を配したところで最初からそれは不可能である。主催者であるJRAの優秀な職員であればあるほど、その審判の与える影響やもたらす事態を考慮してしまう立場から離れることはできない。<略>

<netkeibaより>

生放送中からnetkeibaのコラムを通して、今回の件を非常によく指摘したコメントであり、さすが集保、俺たちには出来ないこと平然と(ryといったところ。改めてまとめると、今回の件で混同してはいけないのはまず一つに「池添の騎乗の是非」と「裁決の公正さ」はあくまで別次元の問題であるということである。多頭数のクラシックのレースともなれば、ある程度「勝ちに行く」騎乗によってラフプレーに近い騎乗は今後も起こりうるだろうし、それを否定してしまうことは競馬の勝負としての側面をスポイルすることになる。もちろん綺麗に迷惑をかけないように乗るように努力するのは当然であるが、完全に防ぐのは難しい。今回の騎乗に是非はあるだろうが、それについては正直なところ議論しても仕方がない。問題なのはそのような状況において唯一頼れるモノ、レースの審判である裁決が極めて現場の雰囲気に依存していること、そして信頼が失われていることである。そしてその要因はやはり現在の制度設計そのものにがあると言わざるを得ない。

それは柏木集保は指摘するように、身内で身内を裁くという制度の問題だ。さらにいうと、「身内(JRA)である人間が審判員であること」と「判断に当たって身内(騎手)の意見を酌まざるをえないこと」という2つの意味での「身内」の問題である。前者については、普通に考えて組織内の人間が審判を行うというのは全く保って公正性を担保できるものではなく、真っ当な設計であるとはいえないというのは当然のことであろう。そしてもう一つ「事象(特に被害の度合い)を判断するに当たって騎手の意見を参考という以上に重要視せざるを得ない」こと、もっといえば「裁決委員に騎手経験者がいないがために、外見からのアクションと騎手の反応でしか被害の度合いをはかれない」ことにある。これは何度も坂井千明元騎手あたりが指摘していることだが、現在の裁決の判断基準では「上手な騎手」が被害を受けた場合過小評価されがちになる。今回の場合においてもアンカツあたりがオーバーアクションにならなかったということが降着にまで至らなかった決め手になったのではないかと勘ぐりたくなってしまうところだ。また柏木集保が指摘するように、今回の加害者が地方騎手、外国人騎手だった場合に被害者のリアクションはこの程度で住んでいたのか甚だ疑問だ。もちろん「元身内の人間」である騎手経験者を裁決委員に入れることはそれなりのハードルと公正さを担保するための制度設計が必要にはなるだろう。しかし今後このようなグレーゾーンを続けることのJRAのリスクは非常に大きいものであり、この2つの身内の問題は早晩解決する必要がある問題なのではないだろうか。降着と過怠金の関係等、ファンに対しての審議問題は様々に指摘すべきところはあるが、今回に関して言えば非常に「現場の雰囲気」に流された裁決のように感じて上記のような問題が顕在化したと思える。

と、審議の話はここまでにしてオークスの回顧。盛大に今週も外したが。勝ったトールポピーは行儀は悪かったが、その末脚は強烈だった。桜花賞での10キロ減から成長、デキともに微妙のような感じではあったが、例年のオークスとは違う力のいる馬場でのスタミナ、末脚の持続性が問われたことが大きかったのかもしれない。父ジャングルポケットは最近どちらかというとジワっとした末脚という武器が小回りでしか通用していない印象があったが、やはり馬場、展開がハマれば広いコースでの末脚は一目置かざるをえないといったところだった。

2着エフティマイア桜花賞2着ながら13番人気。博打的にはここでは買いの呼吸だったか。不利に泣いた馬がいるなかで影響がなかったことも大きかったし、また2400についても折り合いをキッチリつけた精神力が距離克服の要因であろう。オークスについては問われるのはフィジカルなスタミナよりもメンタル的なスタミナで、フジキセキ*ニホンピロウイナーという血統にあまり惑わされたはいけなかったということかもしれない。3着レジネッタは不利に泣いたが、力は見せつけた。馬場も向いたし、マイルベストっぽい桜花賞馬がオークスで3着というのは何度もみた光景でこの結果は十分考え得る結末。4着ブラックエンブレムは体重を減らしながらの好走で陣営の苦労が実った。秋に反動がないかだけが心配。6着リトルアマポーラは枠もあっただろうし、このようなタフな展開になるとアグネスタキオンの東京芝2400は何とも危うかった。

◆レース後のコメント

◇1着トールポピー

※池添騎手 午前中の競馬でCコースの内目が思ったほど悪くないと思っていたので、道中は外々を回らず内に入れて競馬をした。2Kgとはいえ体が戻っていたし、返し馬の感触が桜花賞に比べて良かったので期待していたが、追い出しての反応も良くて最後はよく頑張ってくれたね。他馬に迷惑をかけてしまったのは申し訳ないが、昨夏のデビュー時から距離が延びていいと思い、目標にしていたオークスを勝てて良かった。

◇2着エフティマイア

※蛯名騎手 折り合いはつくと思ったが、それでも距離をこなせない馬はいるから、走ってみないと分からない部分はあった。でも、攻め馬をキチッとやってプラス体重だったし、落ち着きもあって馬は前走以上に良くなっていたからね。道悪もこなしてくれたし、手応えよく追走できたんだが......。あともう少しだった。

◇3着レジネッタ

小牧太騎手 勝ち馬を見ながらの位置で運んで、直線もうまく抜けてこれたんだけどね。2角で両サイドから挟まれて、少し行きたがったことが最後に響いたかな。向正面ではうまく折り合いがついていたし、距離は対応してくれたと思う。改めてこの馬の能力を感じたよ

参考記事

オークス/柏木集保/重賞レース回顧

オークスとかいろいろ。<殿下執務室2.0 β1>

オークス感想<みんなの予想を超えて@はてな

あとから見たらエポックメイキングなオークスなのかも<白線の内がわ>

勝負の世界なら当たり前のこと坂井千明ブログ「チアキのトレセン便り」>

第69回オークス回顧田原成貴の競馬日記>

オークス 審議結果 について<風遊>