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競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

精霊の守り人が衝撃的に面白かったという話

精霊の守り人 (新潮文庫)

精霊の守り人 (新潮文庫)

世の中にはまだまだ面白い本があることを痛感させられた一冊。

恒例の本の雑誌2007文庫版で1位に取り上げられていたのに気づき、精霊の守り人を読んだ。期待以上の面白さに衝撃。あっという間に続編の闇の守り人、星の守り人を貪るように読んでしまった。読む→衝撃→本屋に走るという経験は久々で、読書量の落ちていた07年後半の僕を目覚めさせるのに十分な傑作だった。おかげで正月から読書ペースは倍増中。しかしこの貪るように読むという表現はよいね。

この本にここまで惹き付けられたのはやはり作者の人生に裏打ちされた世界観と、その中を骨太に生きる登場人物達の存在感であろう。知識だけではないリズムある文章から浮かび上がる、手触りのある世界、自分が登場人物の心の中に同居してしまったような感覚は、本格日本製ファンタジーならではの圧倒的な存在感をこの本にもたらしている。まあ本格ファンタジーなんて言葉があるかどうかはわからないが、そのキャラクターの魅力、関係性によって世界を築き上げるライトノベル的ファンタジーとは一線を画す面白さがここにはある。ライトノベルライトノベルで面白さはあるのだけれど、関係性、キャラから語られるのではなく、世界そのものを描くことによって脳内に圧倒的な世界を紡ぎだすこのようなファンタジー小説を読むのはそれはまた至福のときである。

それにしてもこれほど揺さぶられる端的に面白い本がまだまだ世の中にはあるということを感じさせられたことにもまた衝撃。なるべく面白い本を読みたいという欲求から、どうしても自分の好きな作家、ジャンルから本を選んでしまいがちな今日このごろだが、年に数回は書評等を参考にした本選びというのも必要なのだなあということを改めて経験させられた正月だった。