BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

DIVE!!〈上〉 (角川文庫)

小学生のときは飛び込み出来たのに、今飛び込むと腹打つんですが。ていうか、今年一回もまだプールいってねー。

オリンピック出場をかけて、少年たちの熱く長い闘いがはじまる!

高さ10メートルから時速60キロで飛び込み、技の正確さと美しさを競うダイビング。赤字経営のクラブ存続の条件はなんとオリンピック出場だった! 少年たちの長く熱い夏が始まる。第52回小学館児童出版文化賞受賞作。

サンデーで漫画化されていたので、漫画を読む前に原作を読まないとということで慌てて手に取った一作。ついでに角川の夏キャンペーンのケロロブックカバーも欲しかったし。んでもって、これは大正解。やっぱり鮮やかに情景を描ける作家の漫画化とか、映画化って大概失敗してしまうのはたいていの場合、力量が余りにも違うからなんだなあと実感。新人漫画化にこの作品は大きすぎるw

それにしても一度も飛び込み台から飛び込みなんてしたことがないのに、マトモに飛び込みなんて見たことがないのに、目を瞑れば鮮やかに浮かぶ太陽と、グングン近づく水面と。スポーツ小説として、この描画力は見事というしかない。とにかく飛び込みという競技の魅力が余すところなく積もった作品。そして描かれる3人の飛び込み選手。彼らが飛び込みという競技を通じて、悩み、傷つき、そして成長する姿は見事な少年成長物語として完成している。最後の舞台の、その一本一本の飛び込み、その一瞬の煌きの中に彼らの全てが見事に発露している。これは夏休みの課題図書にぴったり。

ただ細かく言うと、ストーリーが若干ご都合主義すぎるところもあるところ、出てくる人がみんな綺麗過ぎるところが厚みを若干なくしてしまっているのかなあというのが残念。爽やかだけど読後にズシっとくる感じがこないのだよね。登場人物が戯画化されすぎているからだと思うのだけど。3人を丁寧に追いすぎてしまったために、読んでいてどこに感情移入していけばいいのか迷いを生んでしまったことが残念。それでもやっぱりスポーツ小説としては、よくできているし、何より描写力、目の前に浮かぶ鮮やかな風景は圧巻。いやホントこれを漫画化させるなんて厳しすぎるよね・・・。