BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

殺人の門 (角川文庫)

殺意が実行にいたるまでの軌跡を執拗なまでな筆致で描いたノワール。個人的な話だが6月くらいに信頼してた人に激しく裏切られた。今まで苦手な人や、相容れない人はいても、そういう人とは必要以上に関わってこなかったし、ある程度信頼できる人は選んできたつもりだった。まあ信頼してた人に軽く裏切られたことならあったけど、相手の状況とか心理状態を考えると仕方ないかなーと思うタイプなので実に経験がない感情が生まれたものですよ。本気で相手を憎悪したのは、あーやべーコイツ殺したいなと思ったのは、生まれて初めてかもしれない。

まあ最初の1ヶ月くらいは本当精神的に追い詰められていて。たぶん絶対ばれないし、こちらが社会的に失うものがないという状況で相手と二人きりにされたら、たぶん殺してたと思うんですよ。そこには生命の尊厳とか、相手のバックグラウンド思いやるとか、そういうものは全く存在していなくて。リスクだけがブレーキという状態。単純に殺したら、自分に降りかかるリスクがやってらんねーなと。社会的な物理的なリスクもあるし、殺した後の心理的リスクを考えると、実行に移せないよなー、でもホント相手がこの世の中に存在してること自体がストレス。その人がいない世界があったら、どんなに幸せだったんだろうとゆーようなことばかり考えて過ごしていた。結局のところ、そこから復帰するのに日々の生活を当たり前に過ごすことだったり、信頼してる人にキチンと小さな小さな承認をしてもらったりというのを繰り返して、だいたい3ヶ月はかかった。

で、こないだその相手を偶然見かけたときに、流石に殺してやりたいとは思わなかった。まあ存在自体がストレスというのは変わらないんだけど、少なくとも僕の日常生活に顔を出してくることはかなり減ってきていたし。この3ヶ月をクリアしたことで、今後も何とかなるのかなーと思うようにもなってきたのが大きいのか。結局殺人の門はくぐらなかったわけですよ。

ただ3ヶ月前の時点では明らかにその入り口までは近づいていたのは確かで。ま、この本を読みながら、殺意が一線を越えるまでに、じわじわとした恨みつらみを継続し続けるのは本当に難しいよなあと納得してしまったというお話。瞬間的な殺意の爆発に至るには何が必要なんだろうねー。