BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

日本競馬を背負ったディープは負けたけど、日本競馬が負けたわけではない

ショック覚めやらぬ凱旋門賞翌日。反応集でもまとめながら、昨日の続きを少々。

【よく頑張ったよ、仕方ないよ派】

凱旋門賞、勝ったのは3歳馬レイルリンク!!!ディープは3着!<stay_gold.com>

そう悲観すべきではない<りあるの競馬日記>

再び世界へ歩みだそう ディープの挑戦を誇りにして<馬券日記 オケラセラ@馬耳東風>

凱旋門賞回顧/でもハリケーンランやシロッコには勝ったじゃないか。<うまうまライフ 〜umauma_life〜>

凱旋門賞仕様の馬を作るべきだよ派】

堂々の3着?、ふざけるな。ディープインパクトはなぜ負けたのかを真剣に考えるべきだ。<Nereide Design Blog>

凱旋門賞が終わって須田鷹雄の日常・非日常>

凱旋門賞が終わって2

【関係者がイケてなかったんだよ派】

結局、未熟ということなんだろう <Promised Land>

凱旋門賞雑感<白線の内がわ>

【日本人のマナーはなってないよ派】】

ディープはインパクトを与えられなかったが、日本の競馬ファンは大きなインパクトを与えて帰ってきた。<名牝達の後宮SAGA>

もし今回出走したのがハーツクライだったら「日本の競馬と欧州の競馬は質が違う。強いだけでは駄目なんだ。もっと凱旋門賞仕様の馬を用意して、必死になって勝ちに行かなければ凱旋門賞は勝てないんだ」という意見は確かだと思う。そういう意味でハーツクライキングジョージは帯同馬がいなかったり、ドバイ以来の休み明けだったりと、陣営に欧州最高峰のレースを勝つために必要な必死さが、これまで積み上げてきた海外遠征のノウハウと引き換えに足りなかったのではないかなという思いを抱いた。

だが今回管理人としては、「今まで凱旋門賞に海外遠征をしてきた日本馬たち」とディープインパクトを同じ文脈で語りたくはないなという気持ちが正直ある。何度もこのサイトで述べてきたがディープインパクトの魅力とは常識をぶち破る破壊的なパフォーマンスで王道を歩んできたことにあると考える。その圧倒さ、魅力ゆえにディープは日本競馬の歴史を塗り替え、世界の競馬の歴史を塗り替えようとした。ここで強く思うのは、ディープインパクトにとって、すでに「凱旋門賞をただ勝つこと」というのは通過点に過ぎず、「日本の競馬そのものををそのまま持ち込んだ形で圧倒的なパフォーマンスで凱旋門賞を勝つこと」すら背負っていたのではないかということである。

ただ勝つことで世界の競馬の歴史は塗り替えらるとは言わない。現在においては当たり前になってしまった「各国の競馬には適性があり、統一した王者は存在しない。それぞれの場所において、最高の適性をもった馬が、そのカテゴリの王者となり、競馬において王者は並び立つ」という価値観すらも超越してしまうのではないかという、あまりにも不遜な期待。それを現実にしてしまう挑戦として、ディープインパクト凱旋門賞出走はあったのではないかと、どこか考えられていたのではないか。少なくとも管理人は天皇賞春から宝塚記念の出走、ぶっつけの調整過程を見ているうちに、正直そんな期待をどこか抱いていた。

だからこそそのような文脈で凱旋門賞を見ていると、今回最後の最後、ゲートを出てから、常識に叶った競馬をして、普通に3着に負けてしまったディープインパクトを見て、何か物足りないような無念さ、責められはしないけれど、言葉に表せない喪失感を感じてしまったのだ。この期待はあまりにも尊大だったかもしれない。しかし常に「適性」というステータスを通して競馬を見ているを管理人にとって、昨年の三冠におけるパフォーマンス、特に生で観戦した菊花賞ディープインパクトの走りに、そのような超越した何かを感じてしまったのは事実だった。ま、アンチディープからすれば、ナーニ夢見てんだよって話かもしれないが。

もちろん、このようなこれまでの海外挑戦の意義のさらに上を行ったような挑戦を行えるサラブレッドは今後そうは出ない。その中で「凱旋門賞を(欧州の最高峰レースを)勝つ」という目標を達成するためには、前述のような欧州競馬を徹底的に研究して、欧州仕様の馬を、しかも多頭数送り出すという戦術を取る必要性はあるのだろう。そのために別にディープインパクト級の馬が必要なわけではない。これまで一連の日本馬の海外遠征において、すでに単純な馬の能力という点では日本馬が欧州馬とひけを取らないことは証明されているといっていい。だからこそ、すでにレースが終わってしまった今、ディープインパクトの走りをただ頑張ったんだからいいんじゃないかと済ませてしまうことは、いまだ凱旋門賞を勝てていない日本競馬には許されていない。この負けを徹底的に受け止めて、次に生かしていく歩みは止めてはいけない。そして、このような文脈においては、凱旋門賞キングジョージ制覇は不可能な話ではないし、そう遠い未来でもないだろう。一流馬の中から、欧州に適性にあると思われる馬を、万全のシナリオで出走させ続ければ、結果は自然についてくると考えるのは、別に楽観すぎるとは思わない。競馬ファンは今回の敗戦を「ディープでも駄目だったのか」と必要以上に重く受け止める必要はない。「ディープが負けてしまった」だけであり、日本競馬そのものが敗北したわけではないのだから。