BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

初心者のためのディープインパクト講座(その2)

微妙な反応の多かった初心者のためのディープインパクト講座第2回編です。最初は世界の競馬における凱旋門賞、日本競馬の位置づけ的なものを書こうと思ったのですが、うまさいとのはじめての凱旋門賞。でよく説明されているので、第2回は国内で無敵状態だったディープインパクト凱旋門賞出走とは何なのかを、さらっと書いてみたいと思いますよ。凱旋門賞とは何ぞや的なものは、うまさいとさんでどうぞ。

前回のエントリでディープインパクトどうしてここまで評価され、話題になってるかといえば「日本競馬の王道をぶっちぎって駆け抜けてきた」から。という結論を書いた。今回の凱旋門賞出走がこれだけ話題になるのは、王道の一つの到達点、すごろくでいうアガリに位置するのが凱旋門賞であるからだ。うまさいとさんにあるように、凱旋門賞は欧州の、世界の最高峰レースである。そのレースに日本の名実ともに最強馬と呼べるパフォーマンスが出来る馬が出走することは日本の競馬ファンの妄想そのものだったといってもいい。今これを読んでる閲覧者の方が好きな世界で最高の王道サクセスストーリーを思い浮かべて欲しい。それを体現しつつあるのがディープインパクトなのである。

だが、しかし妄想と言ったくらい、凱旋門賞を勝つことは難しい。かつて、その扉を半分くらいまで開けかけた馬が7年前にいた。エルコンドルパサーというお馬さんである。彼は3歳時にジャパンカップという日本の大きなレースを勝ったあと、4歳は欧州でレースに出走。その最終レースとなった凱旋門賞モンジューという馬の半馬身差の2着にまで迫ったのである。そのレースぶりは勝ちに等しいまで賞賛され、競馬界は大いに沸いた。だが、2着は2着である。彼は4歳になってから、ずっと欧州で走り、言うなればすでに半分欧州の馬となった状態で出走した。しかも直前に行われる予選レースを快勝している。それでも負けてしまうのが凱旋門賞、競馬なのである。

では何故に難しいのか。一口に言えば野球とベースボールの違いと同様の細かい戦略、グラウンドの違い、そしてサッカーでいうホームとアウェーの違いがあるからである。例えば日本の競馬場は比較的平地に作られたトラックのようなところが多い。しかし欧州の競馬場は地形を生かした起伏の富んだところが多い。また地面もテニスでいうハードコートグラスコートくらい質が違う。そしていまだに凱旋門賞は欧州以外の馬が勝ったことないくらい遠征馬には厳しいレースが強いられる。やはり海外にいけば人間と同じように、馬も慣れるまで時間がかかったりするし、緊張したりする。水も違えば御飯も生活習慣も違う。このように例え日本で最強クラスであったとしても、イコール欧州でも強いとはならないのが競馬なのである。

ただ先ほど述べたエルコンドルパサーなどの凱旋門賞挑戦を筆頭に、日本の競馬界も相当海外で競馬をするためのノウハウを現在作り上げている。特に後者の環境が変わることによる馬への影響は最小限に抑えられているといっていいだろう。では前者の日本競馬と欧州競馬の質の違いは?といえば、これは正直やってみないとわからない。わからないが、ディープインパクトならこなせる可能性は高い。具体的にあげるとマニアックすぎるところではあるが、これまでの日本競馬で例をみないほどのスタミナとスピードを併せ持つ馬はいなかったといっていい。ディープもフランスに1ヶ月前に渡り、当地の芝で何度も練習を重ねている。日本の芝、地面との違いもだいぶ慣れてきているはずだ。アウェーの洗礼に関しても、出走馬が8頭という少なさから力を出し切れる公算が大きくなっている。

だが、しかしそれでも正直ディープインパクトの勝つ可能性は3割を超えるか超えないかといったあたりであろう。競馬を少しでも嗜んだことがある人ならわかるが、いくら条件が揃っても、どんな強い馬でも、何かの拍子に負けてしまうのが競馬である。決して巷を騒がしてるほど凱旋門賞に簡単に勝てる可能性が高いわけではない。しかしだからこそ、それほど難しいレースに、過去欧州以外の馬が勝ったことがないレースに、日本でしか競馬をしたことがない馬が、限りなく本命馬に近い扱いで評価されることは偉大である。すでに現時点でもディープインパクトは歴史上の名馬の資格を手に入れている。もし、それを勝ちきったときには世界の競馬の歴史を塗り替えることになると思ってもいいだろう。競馬に興味のない人も是非この歴史的な瞬間を見届けて欲しい。