BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

【秋華賞回顧】スローペースと騎手の差が勝負をわけた

戦前の評判どおり2強で決まった今年の秋華賞。勝ったのは武豊騎乗のエアメサイアであった。目立った不利もなく直線逃げ込むか、差し切るかと熱いレースになったわけだが、最後勝敗を分けたポイントは2つあったと思われる。まずは予想以上のスローペース。12.4 - 11.0 - 12.2 - 12.2 - 12.3 - 12.3 - 11.8 - 11.6 - 11.3 - 12.1。前半が60.1というのはいかにも遅い。先行馬の隊列が早々と決まって、距離不安のあるエイシンテンダー@武幸が絶妙なペースに落としたのが効いた。おかげでローズSのVTRを見てるように掛かってしまったラインクラフト。もともとハミ受けが悪いところがある馬だけに、2000mのペースが単純な肉体的以上に精神的スタミナを奪ってしまった。ラスト1ハロンがここまでガクっと落ちたのは例年の秋華賞にはないパターン。動かないで溜めたところでSS産駒にとって最高のパフォーマンスが出来るこの流れでエアメサイアと追い比べに勝てるとも思えず、仕掛けどころに関しては仕方ないというしかない。ここまで掛かるのだったらローズSで馬の後ろに入れて我慢させるパターンも試したかったともいえる・・・がこれは結果論。

もう一つのポイントが残り100mで出た騎手の差。鞭を入れて馬を叱咤することだけに夢中になってしまった福永に対して、最後はゴール前で首が下がるようにタイミングを調整しながら、なおかつ末脚を発揮させた武豊。もちろん首が下がっていたから勝ったというわけではないが、このような細かい騎乗技術の差が最後の僅差を生んだともいえる。精神面ではTOPジョッキーの仲間入りしたと言える福永だが、やはり技術面では武豊には敵わない。正直騎手を取り替えたら結果も変わっていたかもしれない。今年一皮向けたと思える福永だが、これからもう一段階上に上がってくれることに期待したいところ。

個別に見ると1着▲エアメサイアはスローと鞍上によりその能力を最大限に発揮できた。今後もこのようなスローに近い流れでならセンスのよさからも安定した走りを見せてくれそう。いかにもエリザベス女王杯は合いそうだ。鞍上がどうなるかではあるが。2着◎ラインクラフトはこれだけ掛かっても僅差なのだから能力は歴然。マイルで今後はのびのび走ってもらいたい。マイルなら相当やれる。

3着のニシノナースコール横山典の冷静かつ大胆な騎乗が光った。普通これだけ穴人気すれば、多少色気を持って人気馬を意識したレースをしたくなるものだが、今日もその馬の力を100%出すことにだけ集中した騎乗。それが3着に持ってこれた要因だろう。こういう騎乗をさせたら本当に上手い。ただ今回は上位との能力差があったから仕方ないにせよ、たまには自分から勝負する競馬をしてもらいたいなあというのは贅沢か。言うなれば武豊や往年の的場元騎手のように、本命馬に楽なレースをさせないようプレッシャーをかけながら、自分の馬の能力をも最大限に発揮する騎乗。今の騎乗ではイングランディーレ天皇賞のように展開の助けがない限り、頭は取れない。もちろん、そのような競馬が出来るほどポテンシャルの持った馬に最近乗っていないのも確かではあるのだが。藤沢厩舎とのコンビが復活した今後に期待したい。なおこれ横山典を四位に変えてもそのまま通じそうな話だ。

4着オリエントチャームサンデーサイレンス向きのこの流れが向いた。5着ライラプスは外枠を追走するとどうしても伸びきれないフレンチデピュティの弱さが出たともいえる。12着○デアリングハートは1800がギリギリだったということか。ちょっと残念。予想的には今週もペースを読み間違えたのが反省点。