BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

【オークス回顧】競馬の面白さとトラックバイアス

【オークス(GI)】(東京)〜シーザリオ戴冠

東京11Rの第66回オークス(GI牝馬・芝2400m)は1番人気シーザリオ福永祐一騎手)が人気に応えて優勝、GI初制覇を飾った。勝ちタイムは2分28秒8(良)。2着に2番人気エアメサイア、3着に3番人気ディアデラノビアと人気馬が上位を占めた。

今年のオークスを見た人はどのような感想を抱いたであろうか。シーザリオの強さに痺れた人もいるだろう。武豊の完璧な騎乗に酔いしれた人もいるだろう。しかしこれがもしも先週までのAコースで行われていたらどうであっただろうか。オークスの回顧をする前にもう一度東京競馬場の馬場について考えてみたい。

先週「東京競馬場がつまらなくなった理由」というコラムを書いた。まだ練れていないレベルのものでありながら、各所で取り上げていただいたことにやはり先行有利、内有利の競馬に違和感を感じる人が多いのだなと感じた。さてもう一度このコラムで述べたことをまとめると「現在の競馬場は内有利、先行有利すぎて見ていて迫力に欠ける」その理由は「1.内に排水溝が埋められたために雨が降ったときに内から乾く」「2.馬場の耐久性が向上して内がなかなか悪くならない」「3.直線の長い競馬場でのスパイラルカーブの導入が追い込み馬に不利に働いている」ということである。

ここではまず3についてその後考えたことから補足をしてみたい。スパイラルカーブというのは3コーナーが緩く、4コーナーがきついカーブとなっている。そのために直線の短い競馬場では加速しながらカーブに入り、かつ直線がばらけるので追い込みも決まりやすくなり、フェアな競馬ができるというのが利点である。しかし直線の長い競馬場では逆に先行有利の温床となっている。なぜならまず直線の長い競馬場では加速しながらコーナーを回ることはない。そのため3コーナーのカーブの緩さは追い込み馬に何の意味もない。逆に先行馬がスムーズに回るために馬群が縮まらないという利点がある。次に4コーナーからのキツイカーブは先行馬の馬群を散らし横に広げてしまう。ここで問題なのはあまり加速していないためその散り方は大きくバラけるというよりは先行馬の隊列が5〜6列になるだけで後ろから差しこめるほどのスペースが生まれないことだ。これがために追い込み馬は進路をなくし、泣く泣く距離損を承知でかなり大外を回すか、内を思い切って突くしかなくなる。これが先週までのAコースで多く見られた光景の原因だと考える。

さてもし上記の1、3が正しいのならばCコースに変わったことでこの影響は小さくなるはずだ。排水溝はラチぞいのはずで効果は薄れるし(1)、コース替わりでカーブが大きくなる分スパイラルカーブ、特に4コーナーでの馬群の広がり方が以前に近くなるから(3)である。逆に理由が2に集中するならもっと先行有利になってもおかしくない。結果はというと見事に差しの効く馬場に変貌した。このことから1,3の仮説はピントはずれではないと証明されたのではないだろうか。もしオークスがAコースで行われてたらエイシンテンダーが逃げ切っていたかもしれないし、エアメサイアがあそこまで上手く抜け出せなかったかもしれない。何より後方に閉じ込められたシーザリオが実力の違いを見せつけて勝つなどということはありえなかったはずだ。

もちろん今回の超スローペースがこのような瞬発力勝負を生んだというのもあるだろう。だがやはり競馬というのは競輪など他のスポーツとは違って、様々な脚質がいることに面白みがあると思う。先行内有利はある程度当たり前ではあるが、少なくとも人為的な原因で内だけが伸びたり、全く前が開かなくなる競馬は誰も望んでいないのではないだろうか。今すぐに馬場を再度改修するのは難しいかもしれないが、コース設定の仕方次第でこの状況はある程度抑えられるはずだけに来年以降の東京競馬場の使い方には注目したい。

最後にオークス出走馬についてのコメント。勝った1着◎シーザリオは決して良い競馬ではなかった。スタートがイマイチだったためガッチリ前を塞がれて、後方からの競馬。勝てたのはとにかく馬の力がこのメンバーでは力が一枚も二枚も上だったからだろう。00年のテイエムオペラオーを思わせる強さだった。ただそのような状況に追い込まれながら馬の力を信じて乗った福永は、やはり成長している。これが蛯名だったらプレシャスカフェの二の舞だったであろう。まだまだ技術的には甘いところもあるだろうが、こと精神面においては一流騎手としての実力をつけてきたといってはいいのではないだろうか。2着エアメサイアはとにかく武豊が最高の騎乗をしていた。もう文句の付けようのない競馬。今年の武豊はナンバーのインタビューで自ら述べていたように、ここ数年と比べて本当に良く乗れている。ちょっとこの調子では武豊に逆らうのは無謀と感じてしまった。ちょうど一年前不振の武豊に対して、SS産駒がいなくなった後でどうなるかを注目していた管理人ではあるが、これなら十分対応してきそうだ。まあ2年後が楽しみだ。3着ディアデラノビアは力は出し切っている。やはりスローの瞬発力勝負ならば実力は上位。ちょっと春に無理をしたのが今後に影響しないかだけが心配だ。管理人期待の14着○エリモファイナルはスローで折り合いがつかなかった。全体的に実力馬がその実力を出し切ったといっていいレース。しかしまあ管理人が切るために考えていたマイル対応の差し馬はジョウノヴィクトリアエリモファイナルだったわけで情けない結果となってしまった・・・。