BrainSquall

競馬ニュースを中心に、レース回顧、POG、一口についてのタワゴト。他にフロンターレとかアニメとか・・・でした。

【天皇賞回顧】アンカツは素晴らしいが・・・

【天皇賞・春(GI)】(京都)〜伏兵スズカマンボ 大一番を制す

京都11Rの第131回天皇賞・春(GI・芝3200m)は13番人気の伏兵スズカマンボ安藤勝己騎手)が優勝、GI初制覇を飾った。勝ちタイムは3分16秒5(良)。2着に14番人気ビッグゴールドが入り、馬単16万9320円、3着に4番人気アイポッパーで、3連単は193万9420円の大波乱となった。

3年連続で大荒になってしまった天皇賞春。こういうことになるとやはり真の有力馬(今年で言えばゼンノロブロイタップダンスシチー)が出てこないから荒れるんだ。距離短縮して有力馬の参加を促すべきだという論調が野元たんあたりから出てくることが想像されるがそう単純に考えていいのだろうか。こちらでも述べられているが少なくとも過去2年に関して言えばそうでないといってよいと思う。よく考えれば一昨年は荒れたとはいえ、菊花賞馬であり後に宝塚記念も制するヒシミラクルがキッチリ勝った。去年はイングランディーレが長めの芝と地方騎手の金縛りに助けられて逃げ切ったが、2着にはクラシックで力を見せ、秋にG1を3連勝するゼンノロブロイが入っている。やはり天皇賞春で連対した馬(どちらか一方かもしれないが)はやはり軽く扱ってはいけないのだということなのだ。

・・・がしかし今年の1着スズカマンボはここまで勝ったのは朝日CCだけでG2級の馬という評価は急には変えられないし、2着のビッグゴールドは2連勝中とはいえオープンのハンデ戦でしかない。これをどう捉えればいいのか。じゃあこの2頭のどちらかがこのあと少なくともG1ひとつでも勝つのかこんにゃろと言われると困ってしまうというのが正直なところではある。やはり皆が言うように事故のようなものという気がしてしまう。ではあくまで実力馬が来るはずの天皇賞春で事故がおきてしまった理由というのを一応考えてみる。

まず有力馬が全て弱点を持っている、というより好走条件が限られていたということに一つの理由があるだろう。ヒシミラクルは怪我のあと引っかかりやすくなってしまった。シルクフェイマスは雨が降ればジエンド。リンカーンは気性の問題から自分から動けない。マカイビーディーヴァは固い馬場がダメ。アイポッパーもまだG1での厳しいペースには慣れていなかった。アドマイヤグルーヴはそもそもスローでしかダメ。ザッツザプレンティは怪我の影響が残っていた。とまあどの馬も嵌らないと勝てないような馬ばかりである。つまり今回は嵌らなかったから全滅。といっても過言ではない。

逆にスズカマンボの戦績を見てみると興味深いことに後半で上がり3Fだけが11秒台のレースでは全部連対しているのである。特にラスト2ハロン目が速くなるような競馬は大得意。一方ラスト4Fから速くなるような競馬ではからきしダメなのである。今回戦前の予想と異なり、早めに動くと思われた馬が軒並み動けなかったことからラスト3Fだけの競馬になったことはスズカマンボにとっては非常に幸運だったといえるのだ。

さらにこれが生きたのがアンカツのコース取りということもいえるだろう。不思議なことに直前の芝レースも本番も多くの騎手がなぜか外を回っていた。しかも伸びていない。終わって騎手インタビューを聞いてみるとアンカツ曰く内も外も馬場はいいとのこと。当然である。日本一馬場のいい京都競馬場で開催2週目で内の馬場が荒れていたらオオゴトである。しかも京都の芝は去年同様洋芝は15センチ近い。ただでさえスタミナをいる馬場で内外変わらなければ内にいる馬が断然有利に決まっている。しかも乗っているのは上がり3Fのレースになればめっぽう強いスズカマンボである。他馬が外を回った理由はナゾのままなのだが(あえていうなら展開くらいしか思いつかない)、とにかくアンカツの今年の不調もどこへやらのスズカマンボの潜在能力を引き出す好プレーも当然評価されるべきだろう。

ということで今年の天皇賞は結局全てが上手くいったのがスズカマンボで、嵌らなかったのが他の馬という結論をもってきておしまいにしたい。なお今後のスズカマンボだが少なくとも宝塚記念はこの馬に向いている舞台ではない。どちらかというとトライアル。あえて一発があるとしたら天皇賞あたりが面白いのかなと考えられる。上がり3Fだけが11秒台になるようなレースということだ。また他の馬に関しては嵌れば簡単に巻き返してくると思われるので注意しておきたい。とはいえやっぱり古馬G1はどんな条件でも好走できる実力馬に出てきて欲しいし、そうじゃないと面白くない。こうしてディープインパクトに対する期待は余計に高まってしまうのだろうなとふと思ってしまった。