少し落ち着いたので競馬関連のサイトやblogを見ていたら、いまだに高速馬場=悪のような論調や野芝と洋芝の区別もついてるんだかついていないんだかのテキストが多かった。まあ管理人も以前はそれほどそこらのことを気に留めていなかったわけで、今年に入りコースの鬼を読んだり、blogを書くにあたり参考図書にあたったりした結果詳しくなったわけである。で年の瀬にあたり一回馬場、特に芝馬場についてまとめてみようと思い立った。今までに書いたことと多少重複するかもしれないが確認の意味を含めてつらつらと書いてみたい。
さて芝馬場を語るにはまず芝の種類からきっちり頭に入れなければならない。日本で使われてる芝には大きく分けて野芝と洋芝がある。さらに品種の違いが細かくある。
野芝
日本にもともとあった在来種やいったんアメリカで品種改良された逆輸入種など。
葉は横に寝るように伸びる。あまり長さが伸びない。
笹のように地下で横にネットワークを張るのでかなり強靭。なかなか傷まない。
暑さに強く、寒さに弱い。冬は地下茎を残して葉は茶色く枯れてしまう。
弾き返すようなクッション性を持ち、スピードが出やすい。
洋芝(ケンタッキーブルーグラス、トールフェスク)
野芝より密生して直立に生え、葉もグングン伸びる。
根はヘチマのような10センチのマット層を作りスポンジのような感じ。
衝撃で簡単に破れて剥がれてしまう。雨にも弱い。
寒さに強く、暑さに弱い。涼しいほうが良い。
沈みこむようなクッション性を持ち、力のいる馬場になりやすい。
洋芝(イタリアンライグラス)
一年草で葉茎が柔らかい。成長が早い。(特に寒冷期)
根は浅く、クッション性にそれほどない。
ベースとして使われることはなく、基本的にオーバーシード用。
大まかに日本で使われてる芝はこのような感じになる。さて次に上記の品種を使った馬場の形態について述べてみたい。
野芝100%馬場
夏が成長期で傷みづらく時計の出る馬場。
秋冬は休眠期で地下茎のネットワークだけある状態。
よって秋冬は馬場は回復せずに痛みはひたすら蓄積される。
サンデー系強し。ただし直線の長い競馬場では速い脚を持続させる必要性が出てくるため、ヘロド系などが台頭。
オーバーシード馬場
10月頃に野芝の馬場にイタリアンライグラスを蒔いて化粧した馬場。
秋冬は地下は夏に生育した野芝の地下茎、地上はイタリアングラスの葉で構成される。比較的時計は早い。
春はイタリアングラスの成長期で丈が長め。しかし地下まで伸びるわけではないので下地の馬場はボロボロになる一方。したがって時計がかかる。
グリーンベルトが出現しやすいが見せ掛けだの時もある。
秋は適度にクッションがあり瞬発力が生かされるためサンデー系が強い。春はノーザンダンサー系が台頭する。
洋芝100%馬場
上に上げた洋芝の特徴そのままにスポンジ状のクッションで時計が掛かる。
雨の影響で一気に馬場が悪化しやすい。
ヨーロッパに近い馬場となるだけに、ヨーロピアン血統が強い。
これで芝コースの大まかな特徴はつかめたのではないだろうか。次回は各競馬場がどの馬場を作っているか、また一年の間にどのような変化が起きるかを追ってみたい。
参考文献:コースの鬼2ndEdition、JRA総研HP、Target、金満血統王国